サボテンと毛虫
毛虫の季節になりました。 公園の桜の木などによく見かけます。 いつも毛虫を見ると思い出すステキな詩があります。
サボテンと毛虫 高俊明(1929・6・6生~2019・2・14)
わたしは求めた
美しい花束を
しかし 神さまは とげだらけのサボテンをくださった
わたしは求めた
愛らしい蝴蝶を
しかし 神さまは ゾッとするような毛虫をくださった
わたしは
なげき 悲しみ 失望した
しかし 多くの日が過ぎ去ったあと
わたしは目を見張った
サボテンが多くの花を開いて 美しく咲き乱れ
毛虫が愛らしい蝴蝶となって 春風に舞い舞うのを
↑ギフ蝶の幼虫 ↓成虫
この詩は、台湾生まれの高俊明(こう しゅんめい)牧師の作です。氏は1970年代、台湾の民主化運動に関わったとして、政治的圧力を受け投獄されましたが、その3年半の間に獄中で作られたものです。
獄中でも希望を失わず、信念を貫いた高俊明牧師は、戦前は日本で小・中学校教育を受け、戦後は祖国の神学校を経て牧師になった方です。
詩 「 サボテンと毛虫 」 は、逆境にいる多くの人に生きる希望を与えました。
その後、牧師は何度も来日され、「美しい日本に」と題する短文を書かれました。その最後の一章をご紹介します。
「美しい日本に」 高俊明 (1990年4月15日復活節の朝)
かくして
日本はついに
真理の花 正義の花
信仰の花 希望の花 愛の花が
咲き乱れる国となり
そのかんばしいかおりは
全世界にただよい
その美しい新芽は
人々の傷をいやし
そのすばらしい実は
全人類に
新しい喜び 新しい希望
新しい力を与えるようになる
ああ
その日の到来を待ち望んで
私は今日も熱い祈りを捧げている
かつて安倍総理が展開した国家論 「美しい国へ」 と、川端康成が日本の美意識を著した「 美しい日本の私」。 それらを比べることは出来ませんが、高俊明牧師が日本に捧げた崇高な祈りを感じながら、私たちも 「美しい日本 」 の姿を思い描いてみてはいかがでしょうか。
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