集団的自衛権問題は政界再編につながる
自民、公明両党の集団的自衛権をめぐる与党協議が、自民党の意向で加速している。
入口は入りやすい「グレーゾーン」にして、公明党の協力を引き出したい自民党。 しかし、玄関の敷居は低くても、いったん家に入ったら、廊下の先の和室には、自民党の大好きな掛け軸がある。
掛け軸には、「行使容認」と書いてある。もちろん、この前まで掛かっていた「平和憲法」の軸は外されている。
平和と福祉の党「公明党」としては、このことは分かっている。 本来なら、自民案には反対したいところだが、腹の内では、与党の一角に残って政権側にくっついていたい。だから、この協議を引き延ばして、落としどころを探っている。 公明党は、行使容認を認めて、またしても自民党の言いなりになり、自党の存在意義を捨てるか、行使容認に反対して、政権から離脱するか大きな岐路に立たされている。
何としても「行使容認」にこぎつけたい安倍政権は、行使に一定の歯止めをかける「指針」を作る案を出して、公明党の理解を求めることにしているが、水面下では次期内閣改造で重要閣僚ポストを用意するなどと甘い言葉をかけているはずである。
しかし、このまま平行線が続いたら困る自民党は、一方で、「維新の会」や「石原新党」さらに「みんなの党」とも接触して、公明党をけん制している。 場合によっては公明党を切って、それらの党と連立を組むかも知れない。
すでに衆議院で単独過半数を持っている自民党は、参議院で維新の会や石原新党、みんなの党と組めば、公明党と縁を切っても十分勝算はある。さらに民主党の中の親自民派を取り込めば盤石の体制になる。しかし、長年自民党を支えてきた友党の公明党を切ることが出来るのか難しい選択を迫られている。だから自民党は、公明党が自ら離脱することを秘かに期待しているのではないだろうか。
権謀術数をめぐらす政治の世界、一寸先は闇と見るべきかも知れない。しかし、今回の与党協議は、政界再編への導火線になっていると思えてならない。
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