どうしても見たい1枚の絵「秋宵」
42年前の3月2日、近代日本画家の巨匠 鏑木清方(かぶらき きよかた 1878-1972)が、93歳で亡くなっています。
鎌倉市の鏑木清方記念美術館には、彼の代表作が多く収蔵されていますが、その中の1枚、「秋宵(しゅうしょう)」は、日本画では珍しく、洋楽器を演奏する女性が描かれています。
モデルは新婚当時の奥様のようです(左手の薬指には結婚指輪らしきものが)。日本髪に薄手の着物を着た女性が、すらっと立っています。
洋風の柱とバイオリン、女学生風の袴姿が、ハイカラでエレガンスな雰囲気を醸し出していますね。 近い将来、実際の絵を見たいと願っております。
そのほか、日本画で洋楽器を題材にしたものは、日本画家 中村大三郎の屏風絵「 ピアノ」(京都市美術館蔵)。大きな作品なので、楽譜の音符まで鮮明に描かれているそうです。ちなみに楽譜は、シューマン「小さなロマンス」と、「トロイメライ」とのこと。振袖とピアノが妙にマッチしていますね。
中村大三郎と同門の北野以悦(きたの いえつ)が描いた「 ハープ 」。やはり振袖姿の令嬢が優雅にハープを弾いています。昭和初期、ハープは珍しかったでしょうね。なお、丸椅子が「ピアノ」と同じタイプのようです。
彭城貞徳 ( さかき ていとく ) 「 和洋合奏之図 」 (長崎県美術館蔵)
尺八の師範でもあった彭城は、明治初期にバイオリンも始めていたそうです。この作品は、バイオリンと尺八の珍しい合奏風景(彭城の自宅)を描いたものです。 畳に置かれた楽譜は尺八のものらしく、この曲は尺八がメインの曲と思われます。
■ ご報告
京都国立近代美術館で開催された「没後50年 鏑木清方展」にて、この「秋宵」と出会うことが出来ました。感激でした。
2022・7・9
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