音楽からみたソチ五輪閉会式
17日間にわたったソチ五輪も閉会式を迎えた。
開会式も楽しめたが、さすが芸術・文化の国ロシア、閉会式も素晴らしかった。
まず、ムソルグスキー「展覧会の絵 より バーバー・ヤーガの小屋」のオーケストラ演奏で幕が開けた。実はこの曲は、終曲「キエフの大門」に続くのだが、さすがにウクライナの首都キエフにちなんだ曲は選べない。バーバー・ヤーガで上手く終わっていた。
ロシア国歌が、ゲルギエフ指揮の1000人の児童合唱団によって歌われたが、伴奏のオーケストラを指揮していたのは、世界的なヴィオラ奏者としても有名なユーリ・バシュメットだった。 続いてロシア軍音楽学校による打楽器のみのマーチングバンド、ドリルがきれいだった。
クロスカントリーの表彰式で、ノルウェー国歌やロシア国歌が流れたあとは、いよいよショーの始まりである。
ロシアの絵画の世界では、シュニトケの「弦楽四重奏のためのポルカ」をヴィオラのユーリ・バシュメット他が演奏した。
ロシアの音楽の世界では、1998年チャイコフスキー国際コンクールの覇者デニス・マツーエフが、浅田真央のフリーの曲でもお馴染みの、ラフマニノフピアノ協奏曲第2番を堂々と演奏した。 使用ピアノは、ヤマハCFⅢ(世界最高級のコンサートピアノ、現在は生産完了している)。他にも62台の小型グランドピアノを使った素晴らしいショーだった。
NHK TV画面より
ロシアのバレエの世界では、リムスキー・コルサコフの「シエラザード」をバックに、ロシアの誇るボリショイ劇場バレエ団と、マリインスキー劇場バレエ団による夢の共演となった。
ロシアの文学の世界では、トルストイなどロシアの12人の文豪が登場、ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会よりワルツ」が華麗に演奏された。(この曲も真央ちゃんで有名)
ロシアのサーカスの世界では、ショスタコーヴィッチの「ジャズ組曲第2番6楽章よりワルツ第2番」が色彩豊かに演奏され、サーカスの演技とマッチして会場を楽しい雰囲気に包んだ。
オリンピック賛歌の中、オリンピック旗が下ろされると、次期開催国の韓国ピョンチャンのショーの始まりである。韓国の正装を身に着けた二人の少年少女による韓国国歌の可愛らしい歌唱のあと、韓国の伝統楽器 「伽耶琴(カヤグム)」 の演奏が始まった。曲は「アリラン」。 この曲を、韓国の世界的なオペラ歌手スミ・ジョーが引き継ぎ、ジャズヴォーカリストのナ・ユンソンがジャズ風にアレンジして歌う、そして日本生まれの韓国音楽家「梁邦彦(りょうくにひこ)」が白いピアノで弾いて、人気歌手のイ・スンチョルがロック風に歌った。
いよいよ聖火の消灯シーン、モスクワオリンピックの最後に流れたという、「ダ・スヴィダーニヤ(さようなら)私たちの可愛いミーシャ」の曲が再現され、ミーシャが息を吹いて聖火を消すと、ミーシャの頬に一筋の涙が流れて、最も感動的なシーンとなった。
歌姫ビブラ・ゲルズマーワの、さよならソチの歌唱に続いて、フィナーレの花火が豪華に打ち上げられ、バックに待ちに待ったチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の第1楽章が演奏された。やはりクラシックの最後はチャイコフスキーだった。
DJが登場し、盛大なダンスパーティが始まると、選手たちもフィールドに下りて、思い思いに踊りに加わり、ソチの夜を楽しんだ。お互いの健闘を称えあい世界がひとつとなったパーティである。これで放送は終わった。皆さんお疲れ様でした。
2020年東京オリンピックの開会式、閉会式に素晴らしいショーはあるのだろうか?→興味のある方は、2020年東京オリンピックセレモニー構想をご覧ください。
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