海馬は無限のメモリーか?
以前にも紹介したように、ピアニストの横山幸雄氏が、今年の5月3日、4日の2日間にわたり、ショパンピアノ作品全217曲の連続演奏に挑む(自身のギネス世界記録更新の予定)。
何といっても、全曲暗譜で演奏するのが凄い!
いったい彼の頭の中はどうなっているのか?
ある本によれば、暗譜する脳の箇所は「海馬」という大脳辺縁系の一部らしい。
下図の「タツノオトシゴ」状の箇所 ↓
そこで、ある試算をしてみた。
海馬が記憶する「音符」の情報量はどれほどになるのか?
馬鹿馬鹿しい試算と分かりつつ、これを考えたら解答を得るまで眠れなくなってしまう。
2010年に、ソロ全166曲に挑戦したとき、彼(横山本人)は楽譜1500ページ分は暗譜したと言っているので、今回の217曲だと、単純計算して約2000ページになる。
1ページあたりの音符数は、実際に数えた人によれば、400~600個(作曲家や曲によってマチマチ)というデータがあるので、まあ便宜上500個とする。
したがって、
音符500個×2000ページ=1000000個(100万個)ということになる。
もちろん、音符(音程、長さ、並び順)以外にも覚えることは山ほどある。楽譜の情報は膨大なのだ。さまざまな音楽記号やテンポやペダリング、すべて覚えなければ暗譜で弾けない。
気が遠くなる話だ。
一方、頭脳だけでなく、身体のほうも心配になる。2日間、21時間弾き続けるのは、体力の限界を超えている。 100万個の音符を弾くということは、両手10本で割っても、1本の指が10万回打鍵することになる。指先が腫れたり、手首が痛くなったりしないだろうか。 いや心配には及ばない。プロのピアニストなら、脱力しているから、余分な力は入らない。案外平気かも知れない。
そして、聴く側も、ショパンだから長時間OKだろう。ショパンはどの曲も聴き易い。BGM的に聴いてもよい。(プロコフィエフとかだったら悲惨だけど。)東京オペラシティのシートなら、オシリが痛くなることもないだろう。
あれこれ考えながら、少し気分が落ち着いてきた。もう眠れる気がする。
あとは彼の偉業達成を祈るばかりだ。おやすみなさい。
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