オルカフィル
オルカフィルハーモニー管弦楽団の第7回演奏会を聴いてきました。
オルカ(ORCA)とは、英語で「シャチ」のことです。だから、このオーケストラがどの都市にあるか分かりますね。
さて、アマチュアオーケストラを聴くと気分が爽快になります。まったく手抜きがないからです。もちろん、プロオケが手抜きをしているという意味ではありません。
少し長くなりますが、プロは演奏することが仕事なのです。N響や都響や読響のように、大スポンサーがあるプロオケは少数で、ほとんどは、入場料収入や広告収入だけで、オーケストラの大所帯を維持しながら、個人の生活も支えていかなければなりません。
だから、なるべくたくさんの仕事を請け負わないと食べていけません。ちなみに、東フィルは年間300回以上の本番をこなしています。時間との戦いです。
練習に多くの時間を割くわけにいかず、ゲネプロだけで本番を迎えることもしばしばあると聞きます。それでも、クオリティの高い演奏をしなければ、お客様は離れてしまいます。シビアな世界ですね。
とにかく回数をこなすことと、個々の初見力、音楽性が要求されるのが、プロオケと言えるでしょう。
それに比べ、趣味で集まっているアマチュアオケは、自分たちが演奏したい曲をプログラムにすることが出来ます。意見の集約に多少手間は掛かっても、好きな曲を演奏できることは幸せなことでしょう。
そして、個々のレベルの問題は練習量でカバーします。場合によっては合宿もします。学生オケほどの時間はありませんが、1曲仕上げるのに数か月(週1で)かけるのが普通です。プロに比べれば、はるかに長時間その曲と付き合うことになります。
その分、曲に対する思い入れも強く、愛着もひとしおです。多くの時間を共有した仲間や、指揮者、トレーナーとも信頼関係や友情が芽生えます。
すなわち、仕上げに要した時間が長い分、汗を流した量が多い分、目に見えない「努力の結晶」「思いの結晶」のようなものが生まれ、その結晶が、聴衆に届くというわけです。
演奏に多少キズがあっても、首をかしげる部分があっても、この目に見えない「結晶」は聴き手に伝わります。だから、「よく頑張ったね!」という温かい拍手が贈られるのだと思います。
音楽に対するひたむきな姿勢、熱意こそアマチュア精神だと思います。そして、目に見えない「キラキラの結晶」が聴衆の心に届き、気分を爽快にさせるのだと思います。
それにしても、ラフマニノフ交響曲第3番の第2楽章、ヴァイオリンのソロは、はっとするほど美しかった。フルートのソロも音楽的だった。全体的に管楽器は安定していて練習のあとがうかがえる出来だった。弦楽器も音色が良く統一されてまとまりがあり秀演だった。打楽器も表情があり全体を支えた。真面目で上手いオケだが、やや細部に気を取られ、曲の全体の流れを捉え切れなかったことは残念だった。
オルカフィルの皆さん、指揮の角田さん、お疲れ様でした。素晴らしい演奏にあらためて敬意を表したいと思います。
Godzilla papa のフォトブログ01より 2010年公演の模様
昨日の第7回演奏会
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