小雪(しょうせつ)に思う
毎年この頃になると、厳しい冬を予感させるように「木枯らし」が吹きます。
「海に出て木枯らし帰るところなし」 山口誓子
前川紅楼 「誓子俳句の軌跡と到達点」 より 一部転記させていただきます。
有名な句であり、わかりやすい句である。木枯らしが海に出て、もう帰るところがなくなったという句である。作者も同じことを言っている。太平洋に出た木枯らしは、さえぎるものがないから、どこまでも、どこまでも行く。日本へは帰ってこない。
ところが、平成4年、91歳の誓子は重大発言をする。
「この頃、日本は特別攻撃隊といって、飛行機で敵艦に体当たりをする、捨て身の戦法を取っていました。捨て身の戦法ですから再び帰ってくることはありません。海に出てゆく木枯らしに、死にゆく若者のことを思いました。悲しい時代でした。」
「海に出て木枯らし帰るところなし」という句は、
「海に出て特攻帰るところなし」 という衝撃の句だったのだ。
※財団法人特攻隊戦没者慰霊平和祈念協会によると、特攻戦死者は5,843人とされる。
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