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書の作品

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    師匠である 安田朴童先生、馬淵仙園先生のお手本を見て書かせていただいています。少しですが自己流の書もあります。 まだまだ未熟ですが、精進して参りますので、ご支援の程お願い致します。

左上の ▶ 再生ボタンを押して下さい。バッハ、イタリア協奏曲が流れます。もう一度押せば止まります。

壺中日月長とは

  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2025年7月 5日 (土)

知られざる名曲 第309回 沈黙のセレナーデより ”あなたなしで” / コルンゴルト

オーストリア出身の作曲家 コルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold, 1897 - 1957) の2度目の登場です。

この作品は、喜歌劇『沈黙のセレナード』の美しい1曲 “あなたなしで~嗚呼あなたは~" を、ヴァイオリンとピアノ用に編曲したものです。(原曲は声楽と管弦楽)

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屋根の上の蒼ざめた
雲の間から月が覗いてる
ひとりの学生が向こうの路地で
歌っている恋人の家の前

泉は再びざわめく
静かな孤独の間でそして
山の森の間を
昔の美しい時のように(歌詞一部 2017.09.05 藤井宏行氏訳 )


■ 沈黙のセレナーデより "
あなたなしで " / コルンゴルト



演奏は、韓国のヴァイオリニスト キム・ボムソリ(Bomsori Kim)です。



■ 知られざる名曲 コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲 コルンゴルトの説明あり

https://manriki358.cocolog-nifty.com/blog/2022/07/post-ee9a11.html


2025年6月13日 (金)

知られざる名曲 第308回 時代は変わったが、私たちは変わらない/ ダリボル・グルバチェヴィッチ

久しぶりに更新します。

この作品は、クロアチアの作曲家 Dalibor Grubačević(ダリボル・グルバチェヴィッチ)が作曲した 映画「世界の果ての橋(2014年)」のオリジナル音楽にインスピレーションを得たザグレブ・ソロイスツ合奏団 による「音楽のライブパフォーマンス」です。

ダリボル・グルバチェヴィッチ(クロアチア生まれ、1975 - )は、映画音楽の分野での作品で知られていますが、幼い頃から並外れた音楽の才能を示し、6歳でギターとピアノを習い始めました。

そして、クラシック音楽の形式やクラシック音楽の作曲家の作品を学ぶことで、音楽教育と音楽的発見の旅を続けるのです。1993年、ザグレブ大の法学部で社会福祉学を学び始めましたが、2年後、音楽に完全に専念するために学業を中断します。

クロアチアの著名な監督たちとコラボレーションし、彼らの映画のために音楽を作曲してきました。映画音楽の作曲において、グルバチェヴィッチは様々な音楽ジャンルとクラシックオーケストラを見事に融合させています。(Wikipediaより一部和訳)


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『世界の果ての橋』は、ブランコ・イシュトヴァンチッチ監督による映画で、ヨシップ・ムラキッチの小説『橋の番人』を原作としてています。

この映画は、小説と同様に、クロアチア戦争中の人々の不幸な運命を描いています。セルビア人亡命者が故郷(ボスニアから逃れてきたクロアチア人が住むようになった)に戻る中、老人が失踪し、セルビア人の家に住み着いた警察官の捜査は、時とともにますます個人的な問題になっていくのです。

■ 時代は変わったが、私たちは変わらない/ ダリボル・グルバチェヴィッチ


今なお続く「ウクライナ・ロシア戦争」、そしてガザ地区の惨状が痛ましい「パレスチナ・イスラエル戦争」など、この世界は戦争が絶えません。
国連も無力、世界の指導者も、ローマ法王も戦争を止めることは出来ません。この曲を聴くと、そんな悲しい現実に心が痛みます。

2025年5月13日 (火)

知られざる名曲 第307回 月華の円舞曲 / 下村陽子 

今回はゲーム音楽からクラシック的な名曲を選んでみました。

Final Fantasy XV(ファイナルファンタジーXV)より「月華の円舞曲」です。

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日本の作曲家 下村陽子(1967ー )は、大阪音楽大学短期大学部音楽科器楽専攻卒業。

4歳の頃にピアノを始める。小学6年生の時に本人いわく「スイッチが入って」練習に熱を入れるようになり、中学からは音楽漬けの生活を送る。高校の時には指揮を習い、ブラスバンドではフルートを担当した。大阪音楽大学短期大学部でピアノを専攻。また、副専攻で作曲を学んだ。

卒業後、カプコンに入社。『ストリートファイターII』など数々の音楽を手がける。その後スクウェアに転職。念願のファンタジーRPGである『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』をはじめ数々の音楽を手がける。

2002年末にスクウェアを退社し、フリーとして活動を行い現在に至る。(Wikipedia参照)

■ 月華の円舞曲 / 下村陽子

ヴァイオリンは、フランス出身の Esther Abrami (エスター・アブラミ 1996 -  )。

イレーネ・デルガド=ヒメネス指揮、ウィーン放送交響楽団の演奏です。

2025年5月11日 (日)

知られざる名曲 第306回 夢とカプリッチョ / ベルリオーズ

フランスの大作曲家ベルリオーズの「知られざる名曲シリーズ」初登場です。

この作品は、ルイ・エクトル・ベルリオーズ(Louis Hector Berlioz、1803 - 1869)が、ヴァイオリンと管弦楽のための楽曲として作りました。副題は「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」。クロイツァーの弟子であるヴァイオリニストのアレクサンドル=ジョセフ・アルトーに捧げられています。

ベルリオーズの協奏的作品は『イタリアのハロルド』と、この作品の2曲のみで、Wikipediaによると、演奏されることは稀で、滅多に聴くことはできない作品との事です。題名通りに夢のあふれる非常にロマンティックな名曲です。

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画像 ACワークス

尚カプリッチョとは奇想曲と訳され、イタリア語で「気まぐれ」を意味します。カプリッチョと呼ばれる音楽に特定の音楽技法や形式があるわけではなく、むしろ形式に縛られない例外的で気まぐれな性格を表しています。

 

■ 夢とカプリッチョ(Rêverie et Caprice)/ ベルリオーズ(Berlioz)



ヴァイオリンの  マリア・ドゥエニャス・フェルナンデス(María Dueñas)はスペインのヴァイオリニスト兼作曲家です。

2021年、彼女はユーディ・メニューイン・コンクールのシニア部門で優勝しました。彼女はスペインのヴァイオリニストとして国際的に最も知名度が高く、同世代で将来有望な音楽家の一人であると考えられています。(Wikipediaより)


「このような魂のこもった表現力豊かな演奏は、19歳ではできないはずだが、彼女は、はるかに長い経験歴のある音楽家のような感情の深みを表した。」- タイムズ紙 (2022年)

マリア・ドゥエニャスはドイツ音楽財団から貸与された17?4年製ニコロ・ガリアーノと日本音楽財団から貸与された1710年製ストラディヴァリウス「カンポセリーチェ」を使用しています。 (ユニバーサルミュージックジャパンサイトより)

 

2025年5月 2日 (金)

知られざる名曲 第305回  お母さん / シャーダッド・ロハニ 

イラン系アメリカ人の作曲家、ヴァイオリニスト、ピアニスト、そして指揮者の シャーダッド・ロハニ(Shahrdad Rohani 1954- )の   "Mother" (お母さん)を聴いてみましょう。

名前は初めて聞く作曲家でしたが、ロンドン交響楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団など、世界トップクラスのオーケストラを指揮しています。

ウィーン音楽アカデミーで学び、その間数々の栄誉ある賞を受賞しています。 2016年から2020年にかけて、ロハニはテヘラン交響楽団の首席指揮者兼芸術監督を務め、同楽団の国際舞台における芸術的存在感を高めました。

2024年には、ロサンゼルスにルーダキー・オーケストラを設立し、自身の指揮の下、全米各地でクラシック音楽の演奏活動を行っています。 チャイコフスキーのバレエ作品を含むロハニの録音は、高い評価を得ています。現在はロサンゼルスを拠点に活動しているとの事です。

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画像 ACワークス

YouTube動画に張り付けられた説明には下記のように書かれています。

シャーダッド・ロハニによるクラシックの傑作「マザー」の、心に響く美しさに浸りましょう! 才能あふれるシャーダッド・ロハニによる、深く心を揺さぶるクラシック音楽「マザー」で、心の奥底にある記憶を巡る感動の旅へお連れしましょう。幼少期の温かさ、郷愁を呼び覚まし、優しく穏やかなメロディーで心を揺さぶる作品です。

■ "Mother"(お母さん)/ シャーダッド・ロハニ 



指揮とピアノ演奏は、作曲家の シャーダッド・ロハニさんです。

2025年4月26日 (土)

知られざる名曲 第304回 アリア Op 9 / ヴァインベルク

今回はポーランド、ワルシャワ出身の20世紀の作曲家 ミェチスワフ・ヴァインベルク( Mieczysław Wajnberg、1919-1996 )にスポットを当てます。

日本での知名度は全くありませんが、作曲家として多くの作品を遺しました。

主な作品には、22曲の交響曲、管弦楽曲、17の弦楽四重奏曲、8つのヴァイオリンソナタ、チェロの為の24の前奏曲、6つのチェロソナタ、6つのピアノソナタ、他の器楽曲、そして7つのオペラ、多くの映画音楽があります。

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画像 ワルシャワ ACワークス


第二次世界大戦(ナチスのポーランド侵攻)の影響で数奇な運命をたどった人物でしたが、詳細な足跡はWikipediaに載っていますので、ここでは触れません。

ただ晩年は、クローン病を発症し、長い闘病生活の末、1996年2月26日に亡くなりました(享年76歳)。

 

■ アリア Op 9 ( Aria, Op. 9 ) / ヴァインベルク ( Weinberg )



リトアニア出身の指揮者 ミルガ・グラジニーテ=ティーラは、ヴァインベルクの交響曲第2番と第21番に捧げたアルバムでドイツ・グラモフォンからのレコーディング・キャリアをスタートさせました。数々の賞を受賞し、グラモフォン誌の年間最優秀録音賞や、オーパス・クラシック年間最優秀指揮者賞も受賞しました。

このアルバムは、忘れ去られた作曲家ヴァインベルクの生誕100周年を記念してリリースされました。彼女はヴァインベルク:交響曲第3番、第7番などの作品を通して、ワルシャワ生まれの作曲家の音楽への認知を広めるという使命をもっています。(YouTube動画の説明より)

この作品は彼の人生を投影して純粋で調和が取れている美的感覚を有するものの、映像で見ると指揮者の内的エネルギーが放出されて、祈りにも似た高揚感を味わうことが出来ます。

オーケストラ演奏は、度々来日しているフランス放送フィルハーモニー管弦楽団。


2025年4月10日 (木)

知られざる名曲 第303回 「エレジー」ト短調 Op.44 / グラズノフ(Glazunov)

グラズノフ(Aleksandr Konstantinovich Glazunov, 1865 - 1936)は、ロシア帝国末期の作曲家です。当知られざるシリーズは二度目の登場になります。

彼の名前を聞くと、《ライモンダ》や《四季》などのバレエ音楽を思い出す方も多いと思いますが、8つの交響曲と多数の管弦楽曲、5つの協奏曲、歌曲など多彩な才能の持ち主でした。

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画像 ACワークス


愁いを含んだこの曲は、ロシア・ロマン主義の作風で味わい深く鑑賞できます。彼は後に「ロシアのブラームス」とも言われましたが、まさに渋さがにじみ出た美しい小品です。

■ 「エレジー」 ト短調 Op.44 / グラズノフ(Glazunov)



演奏は、ギラッド・カルニ(ヴィオラ)と アンナ・カイザーマン(ピアノ)。

「k2k」 と言うデュオ名は、ヴィオラの karni(カルニ)さんと、ピアノの keiserman(カイザーマン)さんのアルファベットから取ったと思われます。


2025年3月31日 (月)

知られざる名曲 第302回 粉屋と小川(Der Müller und der Bach)/ シューベルト(リスト編)

ご存じの シューベルトの三大歌曲の一つ、「美しき水車小屋の娘」は、シューベルトが 詩人ヴィルヘルム・ミュラー(Johann Ludwig Wilhelm Müller、独、1794- 1827)の詩に曲を付けた 全20曲からなる歌曲集です。

その中から、リストがピアノ独奏用に編曲した「第19曲 粉屋と小川(Der Müller und der Bach)」を聴いてみたいと思います。

今回は、知られざる名曲というより、知られざる名演奏かも知れません。


※なお、粉屋とは、水車の動力によって、収穫した麦を挽き、粉状にしてパンの材料を作る職人のことです。

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画像 ACワークス

W・ミュラー詩
實吉晴夫邦詩

第19曲

「若者と小川」
(Der Müller und der Bach)
この訳詞では、粉屋を若者とする


若者

まことの恋が 破れるとき
百合の花も枯れて 地に落ちる
月は雲間に 隠れてゆく
私の涙を 見せないように
天使もその眼を 閉じたまま
すすり泣きながら 眠りへ誘う

小川

苦しい恋が 過ぎ去れば
夜空に 光る 新しい星
バラの花も 薄桃色に咲く
二度と 枯れない 茨の中の花
天使も翼を 折りたたんで
毎朝 ここに 降りてくる

若者

小川よ 小川よ 心の友
君には分かるね 恋の苦しさ
水に沈めば 憩いがある
小川よ 小川よ 歌い続けてよ
心の小川よ 歌い続けてよ

出典:国際フランツ・シューベルト協会


■ 粉屋と小川(Der Müller und der Bach)/ シューベルト(リスト編)



ピアニストは、ヴァレンティーナ・リシッツァ (Valentina Lisitsa ·  1973ー) ウクライナ出身です。

Wikipediaによると、「彼女はウクライナ出身ではあるが、親ロシア・親プーチンの立場をとり、演奏会や録音をキャンセルされるようになった。

2015年4月にはトロント交響楽団の演奏会でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏する予定だったが、楽団側から出演をキャンセルされた。

また2022年6月にはブダペストでグリーグのピアノ協奏曲をハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団と演奏する予定となっていたが、5月にキャンセルされた。2023年4月に予定されていたヴェネツィア・フェニーチェ劇場での演奏会も2022年12月に中止が決まった。

かつてはアメリカを拠点に世界中で演奏活動を行っていたが、2023年1月時点のインタビューでは、夫と別居してモスクワに住み、ロシア国内で演奏活動をしていると語っている。」



不幸なことに、政治的な圧力により、音楽界も不当な影響を受けています。彼女の祈りに満ちた演奏は世界にとってかけがえのないものです。

 

2025年3月29日 (土)

知られざる名曲 第301回  ピアノ三重奏曲 ハ長調 作品29 / ペヤチェヴィッチ

作曲家 ドラ・ペヤチェヴィッチ(Dora Pejačević, 1885 - 1923)の名前はあまり知られていません。

彼女は、クロアチア東部のナシツェという町にある貴族の家系に生まれ、お城(ペヤチェヴィッチ城)で少女時代を過ごしたと言います。なるほど、この「ピアノ三重奏曲ハ長調 作品29」も、どこか気品に満ちています。

36歳で結婚するものの幸せは長く続かず、結婚して1年半後の1923年、男の子を出産した直後に、腎不全により37歳で亡くなりました。

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写真: マルコ・バニッチ、出典: オシエク・バラニャ県観光局



Wikipediaによると、後期ロマン主義音楽の様式で58曲を後世に遺し、その大半がピアノ曲や室内オーケストラのための作品で、そのほとんどが出版も録音もされずに自筆譜のまま遺されていると言います。


■ ピアノ三重奏曲 ハ長調 作品29 / ペヤチェヴィッチ(Dora Pejačević)



第1楽章冒頭の上品な美しい音楽は特筆に値します。全曲は35分ありますから、BGMとしてお聴きください。


2025年3月24日 (月)

知られざる名曲 第300回  トリストローザ / ヴィラ=ロボス

ブラジル(リオデジャネイロ生まれ)の作曲家 エイトル・ヴィラ=ロボス(Heitor Villa-Lobos 1887 - 1959)を取り上げます。

彼は独学で作曲を勉強し、南米のみならず、20世紀を代表する作曲家の一人として活躍しましたが、指揮者、チェリスト、クラシックギタリスト としても才能を発揮しました。

作品は、クラシックの技法にブラジル独自の音楽を取り込んだ作風で知られていますが、多作家としても知られ、作品数は1000曲を超えます。

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画像 リオデジャネイロの朝焼け  ACワークス  


ヴィラ=ロボスが23歳の頃に作曲したワルツ「トリストローザ(悲しみに満ちて)」は、原曲はピアノ曲ですが、ヴィラ=ロボスらしく、ギターで演奏したものを選びました。


■ トリストローザ / ヴィラ=ロボス
( H. Villa-Lobos  Tristorosa )



音楽をいつくしむかのようにギターを奏でる表情がとても美しいですね。

視聴回数190万回、この演奏は、Tatyana Ryzhkova (タチアナ・リツコヴァ)さん、ベラルーシの女性ギタリストです。


クラシックギター曲と言えば、「禁じられた遊び」とか「アルハンブラの思い出」が有名ですが、皆様のギター名曲リストに、是非この「トリストローザ」を入れていただければ嬉しく思います。


2025年3月19日 (水)

知られざる名曲 第299回 「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」ワルツ / 千住明

今回は、2001年1月から3月まで毎週金曜日22時 - TBSテレビ系の「金曜ドラマ」枠で放送された日本のテレビドラマ、「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」(音楽 千住明)より「ワルツ」を選びました。ご存じの方もあると思います。

ストーリーは、Wikipediaによると、ダテ眼鏡をかけ「もう1人の自分」を演じる気弱な高校生「まなと(滝沢秀明)」は、ある日父親の再婚により義理の妹「唯(深田恭子)」と同居する事になる。

「まなと」に片思いする「遥(内山理名)」、「唯」に片思いする「まなと」、「佐伯」(窪塚洋介)に片思いする「唯」、「真理子(石田ゆり子)」に片思いする「佐伯」…と、片思いの連鎖を描いている。

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ドラマ第1話 ロケ地 噴水のある公園

このドラマの音楽を担当して劇中音楽賞を受賞した千住明((せんじゅ あきら、1960 - )は、日本の作曲家、編曲家、音楽プロデューサー。
当知られざる名曲シリーズ、二度目の登場 https://manriki358.cocolog-nifty.com/blog/2022/09/post-8510c5.html

妹さんは、ご存じ有名なヴァイオリニストの千住真理子さん。お兄さんは日本画家の千住博さんです。


■ 「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」ワルツ / 千住明



この動画の背景に描かれた絵画は、世界的に有名なアーティスト、ニノ・チャクヴェタゼ(Nino Chakvetadze、1971-  トビリシ=ジョージアの首都生まれ)さんのアート作品です。


2025年3月13日 (木)

知られざる名曲 第298回 ベッリーニへのオマージュ / パスクッリ

本日の主人公は、イタリア シチリア島パレルモ生まれの作曲家 兼オーボエ奏者の、アントニオ・パスクッリ(Antonio Pasculli 、1842 – 1924)です。

日本では無名の作曲家ですが、オーボエの名手として活躍し「オーボエのパガニーニ」と称賛されました。しかし目を悪くして40代初めに生地 パレルモに戻りこの地で亡くなりました。

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画像 シチリア島パレルモ ACワークス

イタリアオペラを代表する作曲家 「ベッリーニ へのオマージュ」と題されたこの作品には、ベッリーニのオペラからの2曲の美しい旋律が引用されています。

1曲目は「海賊」より狂乱の場への間奏曲、2曲目は「夢遊病の女」より五重唱「私は悪い女じゃないわ」です。

 

■ イングリッシュホルンとハープのための「ベッリーニへのオマージュ」/ アントニオ・パスクッリ
※時間のない方は開始2分からお聴きください

イングリッシュホルン:ラルフ・ファン・ダール( Ralph van Daal )

ハープ:クララ・ベルガルド( Clara Bellegarde )



2025年3月 4日 (火)

知られざる名曲 第297回 ピアノ三重奏曲第4番 - II. アダージョ / ベートーヴェン

ロマン・ロラン(フランスのノーベル賞作家)が云うように、ベートーヴェンは「不幸な星のもと」に生まれた。

宮廷歌手だった父は収入も少なく、祖父が死んで援助が無くなると、まだ14歳のベートーヴェンは、アルコール中毒の父と、病弱の母、そして二人の弟たちの面倒をみなければならなかった。 

敬愛するモーツァルトに会い、一筋の光明を見るも、母の病状悪化で帰郷し、結局愛する母は亡くなった。生活が困窮する中、熱愛する恋人とも破局を迎える。さらに、この頃から作曲家にとって致命傷ともいえる耳の病気が容赦なく彼を襲うことになる。

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画像 雪のボン ACワークス


苦悩と共に生きたベートーヴェンは、56年の生涯に400曲の作品を遺した。

しかし、交響曲や協奏曲は演奏機会も多く良く知られているが、室内楽は余り知られていない。むしろ敬遠される傾向にあるのが不思議なほどであるが、これは、いわゆる「食べず嫌い」が原因かも知れない。

聴いてみると意外と親しみ易く美しい旋律と出会う。今回の「知られざる名曲」もまさにその1曲である。


あるアンケート調査によると、日本人の一番好きなクラシック作曲家は、1位がショパン、2位がベートーヴェンだそうである。であるなら、もっとベートーヴェンを聴いてみよう! 同じ曲を何遍も聴くのも大事だが、知らない曲を片っ端から聴いてみるのも一考である。


■ ピアノ三重奏曲第4番 - II. アダージョ / ベートーヴェン
 Piano Trio No. 4 in B flat major, Op. 11 - II. Adagio/Beethoven

Max Tan(マックス・タン), violin
Timotheos Petrin(ティモテオス・ペトリン) , cello
Jayoung Kim(キム・ジャヨン) , piano


2025年2月24日 (月)

知られざる名曲 第296回 奇想曲イタリアより「Qui Son Nato」/ 久保田 孝

久しぶりに日本の作曲家、それもマンドリン界にスポットを当ててみようかと思いました。

マンドリンは、イタリアで生まれましたが、日本は世界一マンドリンが盛んな国です。

ただ、近年はマンドリン音楽は衰退しています。学校のギターマンドリン(ギタマン)クラブは、部員が足りず、指導者も不足していて、廃部に追い込まれています。地方ではマンドリンのコンサートも滅多に聴けなくなりました。


日本のマンドリン界の草分け的存在として知られ、名古屋にゆかりのあった故中野二郎さんは、

日本のマンドリン音楽の在り方が、総体に演奏会を開くためのものゝのようで、勢い大編成の大掛かりなものばかりに眼が行って、無数に存在する佳曲が埋もれた儘(まま)に忘れられています。それどころか楽器店にはマンドリンも無く、書店には何一つ関係書籍は見あたらずという現状では、どうにも発展のしようがないのですが、又それをさして痛傷とも感じないようなところに致命的なものがあります。(1993.2)

と語り、マンドリン界の現状に憂慮しています。(マンドリンアンサンブル・ヴォールテンペリーレンHPより転記)



マンドリンを応援する意味で、今回の「知られざる名曲」は、久保田 孝 (1942- ) 作曲の「奇想曲イタリアより "Qui Son Nato" 」を選曲しました。

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画像 ACワークス

久保田 孝は、古賀政男が創設した 明治大学マンドリン倶楽部出身で、大学卒業後の1968年 西ドイツへ留学し、カールスルーエ音楽大学指揮科、その後 1972年ウィーン国立音楽大学指揮科で ハンス・スワロフスキーに師事。指揮者としての研鑽を積みました。

帰国後、指揮者として活動し、東京フィルハーモニー交響楽団、札幌交響楽団、群馬交響楽団、新星日本交響楽団、日本新交響楽団などを指揮して高評価を得ました。

作曲家としては、マンドリンオーケストラ曲の活動は明治高等学校在学中より始まり、現在に至るまで数多くの曲を手掛け、マンドリン界で好評を博し日本全国各地のマンドリン楽団での演奏機会も多数あります。(一部Wikipediaより)


■ 奇想曲イタリアより「Qui Son Nato」/ 久保田 孝

チェロ独奏:髙橋 麻理子
指揮:久保田 孝
演奏:EUPHORIA 上智大学ソフィアマンドリーノ 合同オーケストラ

 

チェロの独奏が、哀愁のあるマンドリンの音色に良くマッチしています。

 

2025年2月19日 (水)

知られざる名曲 第295回 クラリネットとピアノの為のソナタ より「アンダンテ」 / メンデルスゾーン

メンデルスゾーンが、1824年に15歳で書いたこの「クラリネットとピアノのためのソナタ」。

今回は、その2楽章「アンダンテ」 ト短調を聴きます。わずか2分の素敵な曲です。

技巧的なところはなく、あくまでも「カンタービレ(cantabile)」で、歌うようなメロディが特長です。

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画像 ハンブルグ ACワークス


余談ですが、彼はこの作品を書く前年、バッハの「マタイ受難曲」の写筆スコアを母方の祖母よりクリスマス・プレゼントとして贈られています。

「マタイ受難曲」のスコアをプレゼントするおばあちゃんも凄いですが、その後、弱冠20歳で「マタイ受難曲」を指揮したメンデルスゾーンも凄いと思います。この日以降、100年間忘れ去られていた バッハの「マタイ受難曲」など声楽曲が復活して現在に至っています。

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Concertgebouworchestra performs Bach's St Matthew Passion


■ クラリネットとピアノの為のソナタより 「アンダンテ」 / メンデルスゾーン



クラリネット演奏は、ドイツのイェルク・ヴィトマン (Jörg Widmann)。
ピアニストは、同じくドイツのアニカ・トロイトラー(Annika Treutler )。


2025年2月12日 (水)

知られざる名曲 第294回 Joined hearts(繋がる心) / エヴァンシア・レブツィカ 

世界で初めて映画音楽を書いたのは作曲家 サン=サーンスです。
 ご参考 映画「ギーズ公の暗殺」(1908年 仏映画『ギーズ公の暗殺』上映時間15分)

以後、プロコフィエフ、コルンゴルト、ショスタコーヴィッチ、サティなどの大作曲家も映画音楽を書きました。日本を代表する 山田耕筰も映画音楽を書いた一人です。

その流れは、マックス・スタイナー 、ミクロス・ローザ 、エンニオ・モリコーネやニーノ・ロータ、ジョンウイリアムズ、日本では伊福部昭、武満徹、久石譲、坂本龍一などに引き継がれ、クラシック現代音楽が聴衆から離れる中、映画音楽が聴衆の心をつかむことになりました。もう映画音楽を抜きにして音楽を語ることは出来ません。

当「知られざるクラシック名曲」シリーズでは、今後もクラシック音楽と同様に、映画音楽にスポットを当てて皆様にご紹介したいと思います。

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画像 ACワークス

今回は、ギリシャの作曲家 エヴァンシア・レブツィカ (Evanthia Reboutsika 1958- ) が書いた、トルコ映画『Two Hearts as One 』(ハサン・キラチ監督 2014年)の劇中曲「Joined hearts(直訳=繋がる心)」です。

エヴァンシア・レブツィカは、6歳の時にパトラス音楽院でバイオリンを学び始めました。その後、アテネ音楽院、ギリシャ国立音楽院、パリのエコール・ノルマル音楽院で学びました。幼い頃から兄妹とカルテットを組んで演奏し、ギリシャ国内外でツアーをしていました。

彼女の作品は、ローマ国際映画賞、カンヌ・インディーズ映画賞、ロンドン・ギリシャ映画祭などで受賞に輝き、国際的に高く評価されています。(公式サイト)


■ Joined hearts(繋がる心) / エヴァンシア・レブツィカ


1940 年代のツェネットの盛大な結婚式が映し出される。若いツェネット (ハンデ・ソラル) は、村の人気者ニヤズ (セルカン・シェナルプ) と結婚する。 2 人は深く愛し合っているが、不幸なことに、翌日、ニヤズはソ連軍に連行され、ドイツ軍と戦う軍隊に加わる。ニヤズは妻と離れ離れになり、スターリングラードの瓦礫の中で、妻のもとに戻る日々を想う。

 

■ ご参考

知られざる名曲 第121回 鉄道駅/ エヴァンシア・レブツィカ

 

 

2025年2月10日 (月)

知られざる名曲 第293回 情熱的でメランコリックなアダージョ / ボッテジーニ

コントラバスの名手でイタリアの作曲家、指揮者の ジョヴァンニ・ボッテジーニ(Giovanni Bottesini, 1821 - 1889)の、当知られざる名曲シリーズ2度目の登場です。

曲は「情熱的でメランコリックなアダージョ(Adagio Melanconico ed Appassionato)です。

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画像 イタリア クレマ   ACワークス

ボッテジーニは、クラリネット奏者で作曲家であった父親から音楽の基礎を教わりましたが、11歳頃にはティンパニを演奏することになりました。

多彩な音楽的才能があり、その後 ヴァイオリンを学び、最終的には奨学金のあるコントラバスで、ミラノ音楽院に入学しました。

ミラノ音楽院を卒業する時には、ソロ演奏が認められ300フランの賞金を手にしました。このお金で著名なコントラバス製作者 カルロ・ジュゼッペ・テストーレ の名器を購入し、「コントラバスのパガニーニ」として世界を飛び回るキャリアがスタートしました。

■ 情熱的でメランコリックなアダージョ / ボッテジーニ
 Adagio Melanconico ed Appassionato

コントラバス演奏:ジョエル・クアリントン (Joel Quarrington、 カナダ) 

ピアノ:アンドリュー・ブラシュコ (Andrew Burasko、カナダ)

ご参考↓

知られざる名曲第98回 コントラバス協奏曲第2番


関係のない話

■ 猛暑と極寒の日本列島

夏は連日の猛暑でした、冬は暖かいかと思いきや、当地は3日連チャンの雪。
地球温暖化はどこへやら、寒さも暑さも厳しい日本。
こんな時はクラシック音楽を聴いて、せめて心の中は爽やかに過ごしたいものです。

■ クラシックは広がっている?

久しぶりに入ったうなぎ屋さん。何とBGMは「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。
う~ん、「うな丼」と「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。不思議なミスマッチ。
クラシック音楽は、うなぎ屋さんにも進出しているのか・・・

2025年2月 5日 (水)

知られざる名曲 第292回  エチュード 嬰ニ短調 作品8-12 / スクリャービン

ロシアの作曲家 アレクサンドル・スクリャービン(Alexander Scriabin, 1872 - 1915)が作曲した 練習曲嬰二短調作品8-12は、クラシックファンなら聴いたことがある名曲です。あのピアニスト ホロヴィッツが、いつもアンコールで弾いたことでも有名です。

ただ今回は、オーケストラバージョンです。その意味で今回の知られざる名曲に選んだわけです。

※本来はピアノ協奏曲風のバージョンをアップしましたが、リンク切れとなり、今回のオーケストラバージョンに差し替えました。ご了承下さい。

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画像 ACワークス


トルストイはスクリャービンの音楽を「天才の真摯な表現」と評した。スクリャービンの作品は時を経て音楽界に顕著な影響を与え、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、シマノフスキなどの作曲家にインスピレーションを与えた。

しかし、ロシアの音楽界、そして国際社会におけるスクリャービンの重要性は、彼の死後大幅に低下した。伝記作家ファビオン・バウワーズによると、「生前これほど有名だった人物はおらず、死後これほどすぐに無視された人物もほとんどいない」という。

それでも、1915年4月16日のスクリャービンの葬儀には、あまりにも多くの人が参列したため、切符を買わなければならなかった。棺を担いだラフマニノフはその後、遺族のためにスクリャービンの曲だけを演奏するロシア大旅行に出た。

彼の音楽美学は1970年代から再評価されており、出版された10曲のピアノソナタやその他の作品はますます支持され、近年大きな称賛を集めている。(海外版Wikipedia参照)

■ エチュード 嬰ニ短調 作品8-12 / スクリャービン

少し前の録音のため、音質は良くありません。

指揮 / ハンス・キンドラー
管弦楽 / National Symphony Orchestra (国立交響楽団)
編曲 / LaSalle Spier(ラサール・スパイア)

2025年2月 3日 (月)

知られざる名曲 第291回 弦楽四重奏曲第16番 第3楽章 / ベートーヴェン 

小澤征爾が亡くなってもうすぐ1年が経ちます。(2024年2月6日逝去 享年88歳)

今回の知られざる名曲は、追悼の意味も込めて、生前 小澤征爾が指揮した、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番の第3楽章を、弦楽合奏で聴いてみたいと思います。(抜粋)

死の5か月前に完成したこの作品は、ベートーヴェンの弦楽四重奏最後の作品で、白鳥の歌(生涯最後の作品)といっても良いと思います。

一方、クラシックファンであっても、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は取っ付きにくいという人が多いのは事実です。

そんなクラシックファンに是非聴いて欲しい1曲です。

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特に深い情感を湛えた、この弦楽四重奏曲第16番の第3楽章は、ベートーヴェンが長い闘病生活の中にあって垣間見た彼岸の世界を連想させます。

何と言っても、小澤征爾 入魂 の演奏です。つい美しくも深遠な音楽の世界に引き込まれるでしょう。


■ 弦楽四重奏曲第16番 第3楽章 / ベートーヴェン  ※抜粋版(3分20秒)



この3楽章を全部(約9分)聴きたい方は→https://www.youtube.com/watch?v=oGsnJn7yI6c
終演して長い間の沈黙をお聴き下さい。沈黙の中に音楽があります。


演奏:スイス小澤征爾国際アカデミー 小澤征爾指揮弦楽アンサンブルオーケストラ


尚、当日の演奏を全部(29分35秒)聴きたい方は→https://www.youtube.com/watch?v=s43TPuZsQTY 

2025年2月 1日 (土)

知られざる名曲 第290回 ロータスランド(蓮の国) / シリル・スコット

イギリスの作曲家 シリル・スコット(Cyril Meir Scott, 1879 - 1970)に焦点を当てます。曲は「ロータスランド(蓮の国)」です。

蓮(ハス)は、中国やインドなど東洋の花です。画家モネも「睡蓮」を描きましたが、シリル・スコットは音楽で表現したようです。


東の浜辺のまばゆいばかりのドームを照らす 、まばゆい夜明けの輝きに 照らされ、
蓮華の女神は嘆き悲しむ!
蓮華の国の夢のような世界に迷い込んだ。蓮華の国で迷った彼女は、はるか遠くの蓮の芝生を眺める。
・・・

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画像 ACワークス

彼は幼少期から楽才を発揮し、12歳でフランクフルト・ホッホ音楽院ピアノ科に入学し、21歳で最初の交響曲を完成させている。1909年に自作のピアノ曲を6曲ウェルテ・ミニョン(英語版)社のピアノロールに録音している。

1921年にローズ・アラティーニと結婚し、娘 ヴィヴィアン・メアリーと息子 デズモンド・シリル を儲けるが、2人は第二次世界大戦後に別居している。1943年にマージョリー・ハーツトンと出会い、没年まで愛人関係を結んだ。

亡くなる3週間前まで作曲活動を続け、91歳で他界した。亡くなる頃には、スコットは過小評価されるようになっていた。再評価が始まったのはつい近年のことである。(以上Wikipediaより)

「イギリスのドビュッシー」とも呼ばれ、ロマン派と言っても、やや印象主義的な作風で、交響曲、協奏曲、室内楽、ピアノ作品から歌劇までおよそ 400曲もの作品を遺しました。



しかし何と言っても彼の特長は、健康に対する独自の信条にありました。

スコットは代替医療、健康食品、自然療法、哲学、スピリチュアル、ヨガに興味を持ち、一連の本やパンフレットで、ガン患者に対しても食事療法や代替医療を提案し、西洋医学による医療や手術を避けるよう促しました。

バレエ「無能な薬剤師(1923)」などに彼の西洋医学への不信感が現れています。
また生涯を通じて、医学や健康法、ガン予防・治療法など多くの著書(41冊)を執筆しています。



尚、原曲はピアノ曲ですが、世界的ヴァイオリニストで作曲家のクライスラーがヴァイオリンに編曲しています。

■ ロータスランド(蓮の国)Lotus Land  / シリル・スコット クライスラー編曲版



レイ・チェン - Ray Chen (ヴァイオリン)

ジュリアン・クエンティン - Julien Quentin(ピアノ)


2025年1月22日 (水)

知られざる名曲 第289回 ロマンス / ミケーレ・マンガーニ

イタリアの作曲家 ミケーレ・マンガーニ (Michele Mangani,1966- ) の、クラリネットとピアノのための「ロマンス」が本日の知られざる名曲です。

ミケーレ・マンガーニ は、イタリア中部のマルケ州にある小さな世界遺産の町 ウルビーノ出身で、1984年にペーザロ音楽院「ジョアキーノ・ロッシーニ」でクラリネットを学び、1987年にバンド楽器、1990年に作曲、1992年にオーケストラ指揮を学び、1988年にボローニャ音楽院「GB マルティーニ」で合唱音楽とコーラス指揮を学びました。

作曲家としては、デュオから合唱まで室内楽アンサンブルのための作品を多数手がけ、最大の作品は吹奏楽と交響楽団の音楽で、オリジナル作品と編曲を合わせて約200曲を作曲していますが、その多くは吹奏楽やバンドのコンクールで必須曲として取り上げられています。
(公式サイト https://www.michelemangani.it/ 参照)


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画像 イタリア ウルビーノ ACワークス


クラリネットは、音域が約4オクターブと全管楽器中最も広い楽器です。そして、木管の柔らかい音色が特徴的です。

味わいのある豊かな響きと、輝かしい高音域までカバーできるので、オーケストラに無くてはならない楽器です。

吹奏楽ではオーケストラのヴァイオリンに当たるパートを受け持ち、主に旋律を担当します。

そんなクラリネットですが、意外と名曲が少ないのが不思議です。その中でも、モーツァルトのクラリネット五重奏曲や協奏曲、ウェーバーのクラリネット協奏曲はとても名曲です。ブラームスのクラリネット五重奏曲もお勧めです。


■ ロマンス
(Romanza) / ミケーレ・マンガーニ



この曲を聴いて日本的なしっとりとした風情を感じるのは私だけでしょうか・・・


♪クラリネット:ピオトル・デック Piotr Dec

現在、ロンドンの王立音楽アカデミー(RAM)の音楽修士課程の奨学生として、クラリネットを研鑽中。


♪ピアノ:マグダレナ・ドゥシュ  Magdalena Duś


室内楽奏者。 2012年から音楽アカデミーで室内楽のクラスを教えている。カトヴィツェのカロル・シマノフスキ教授のピアノクラスを優秀な成績で卒業した。


2025年1月21日 (火)

知られざる名曲 第288回 「イエローストーン」 テーマ / ブライアン・タイラー

ケヴィン・コスナー主演の人間ドラマ「イエローストーン」。

現代のアメリカ西部モンタナ州を舞台に、イエローストーン国立公園に接する広大な牧場を所有するジョンと開発業者や先住民の、土地をめぐる争いと、家族の葛藤を描くドラマです。

今回は、そのドラマのテーマ音楽をご紹介します。

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画像 イエローストーン ACワークス


作曲は、ブライアン・タイラー(Brian Theodore Tyler, 1972 - )。アメリカ合衆国の作曲家、指揮者、ミュージシャン、編曲家、音楽プロデューサーです。

タイラーは、ピアノ、ギター、ドラム、ベース、チェロ、ワールドパーカッション、ギターヴィオル、チャランゴ、ブズーキなどの演奏に長けたマルチ楽器奏者です。彼は、世界中で自身の映画音楽による交響楽コンサートを指揮しており、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ハリウッド・スタジオ交響楽団を頻繁に指揮しています。(公式サイト参照)


■ 「イエローストーン」 テーマ / ブライアン・タイラー

2025年1月19日 (日)

知られざる名曲 第287回 Melody (メロディ) / ミロスラフ・スコリク

ロシア・ウクライナ戦争は、2022年2月24日に侵攻が始まって以来、もうすぐ3年が経過しようとしています。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道では、両国の兵士の死傷者数は100万人(民間人含まず)を超えたとのこと。
いったい何のための戦争だったのでしょうか? あまりにも不条理で、あまりにも悲惨です。一部の軍需産業が大儲けしたに過ぎません。

今回は、ウクライナの作曲家 ミロスラフ・スコリク ( Myroslav Myxajlovyč Skoryk , 1938 - 2020)の代表作「ヴァイオリンと管弦楽のためのメロディイ短調」にスポットを当てました。

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画像 ウクライナ リヴィウ街並み ACワークス


あまり知られていませんが、この曲は1982年のソ連の戦争映画『ヴィソキー・ペレヴァル』 "Vysokyy pereval" のために作曲された映画音楽です。

元々はフルートとピアノのために作曲されましたが、その後、多くの楽器用に編曲されています。

近年は、ロシアのウクライナ侵攻に関連して、平和を希求するチャリティコンサートなどで頻繁に演奏されています。


■ Melody (メロディ) イ短調 / ミロスラフ・スコリク



演奏は、ヘルマン・マカレンコ 指揮、キエフ・クラシック管弦楽団


2025年1月18日 (土)

知られざる名曲 第286回 チェロ協奏曲ニ短調 Op82 II. Romanza / カール・ライネッケ

前回と今回286回は、チェロ曲が続きます。今回は、チェロ協奏曲ニ短調 Op82 II. Romanza(1864年作曲)を選びました。

作曲は、ドイツの作曲家 カール・ライネッケ(Carl Heinrich Carsten Reinecke, 1824 - 1910 )です。彼は昨年(2024年)生誕200年でしたので、名前をご存じの方もあるかと思います。

彼は、ドイツロマン派の重鎮として、シューマン、メンデルゾーン、リスト、ブラームスとも親交がありました。そして、85歳で亡くなるまで作曲家、ピアニスト、指揮者、教育者として活躍しました。

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画像 ACワークス


音楽家としては才能と長寿に恵まれたライネッケでしたが、必ずしも幸福な人生を歩んだわけではありませんでした。彼は人生で3度結婚していますが、ケルン時代1852年に結婚した妻は8年で他界しました。62年に再婚した妻も10年足らずで亡くなっています。そして72年にマルガレーテ・シッフリンと3度目の結婚をしました。

愁いを含んだこの作品を聴くと、ライネッケの心情が伝わってきます。


■ チェロ協奏曲ニ短調 Op82 II. Romanza / カール・ライネッケ



チェロ演奏は、アメリカ出身の マイケル・サミス (Michael Samis ) 、グレゴリー・ウォリネック指揮の ゲートウェイ室内管弦楽団。

 

2025年1月13日 (月)

知られざる名曲 第285回 美しい夕暮れ / ドビュッシー

フランスの大作曲家 ドビュッシー(Claude Achille Debussy  1862-1918)の「知られざる名曲シリーズ」初登場となります。

今回の曲は、「美しい夕暮れ(Beau soir 詩:ポール・ブールジェ)」。

この作品はドビュッシーが18歳の時に書いたアートソング(芸術歌曲)です。

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画像 ACワークス

3分ほどの小品ですが、きっとロマンティックな雰囲気に満たされると思います。今回はチェロでお聴き下さい。

沈む夕日の中、川が真っ赤に染まり
暖かくさざめく波が小麦畑の上を渡るとき
あらゆるものが「幸せになれよ」と言っているようだ
揺れ動く心にはそう聴こえてくる(歌詞一部)


■ 美しい夕暮れ / ドビュッシー


演奏は、オーストラリアのチェロ奏者リチャード・ナローウェイ氏です。グラモフォン誌で「魅惑的な感性」と「爽快な権威」と称えられ、同世代で最も注目されるアーティストの一人として国際的な評価を得ています。

2017年、リチャードはバッハの6つの無伴奏チェロ組曲でレコーディングデビューを果たし、リリース以来、アルバムは100万回以上ストリーミングされ、世界中で注目を集め続けています。

カナダ人ピアニスト、ケビン・アファット氏は、温かく洗練された演奏力で、この演奏をサポートしています。

 

■ ご参考 ヴァイオリン:髙木 凜々子  ピアノ:五十嵐 薫子

https://www.youtube.com/watch?v=nIKYTxA5bXQ

 

2025年1月12日 (日)

知られざる名曲 第284回 ピアノ三重奏第2番ホ短調第1楽章 / サン=サーンス

サン=サーンス(Charles Camille Saint-Saëns、1835-1921)は、動物の謝肉祭とか、交響曲第3番「オルガン付き」が有名ですが、室内楽の世界でも多大の功績を遺しました。今回取り上げる作品は、19 世紀のフランスでは最高ランクのピアノトリオと評された名曲ですが、日本のコンサートで演奏されることは滅多にありません。

第1楽章、美しくも何かを予感させるような冒頭のメロディは何度も繰り返され、フランス音楽らしいエレガントな雰囲気を持ちながらも適度な緊張感を生んでいます。雄弁で感情の起伏が複雑に絡み合うのですが、冒頭の主題が出てくると、どこか叙情的で優雅な気分になれます。スケールの大きなピアノトリオですが、細部にまで生き生きとした輝きを感じます。

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画像 ACワークス


今回演奏しているトリオ Latitude(ラティチュード)41 は、2015 年にこの曲をリリースしました。

このレコーディングについて、評論家のジョン ソベルは次のように語っています。

「このトリオの演奏は、ピアニストのベルナデネ ブラハ、ヴァイオリニストのリヴィア ゾーン、チェロ奏者のルイジ ピオヴァーノの3人であるが、それぞれ技巧に見合う自発性を発揮している。彼らは、熱く、感情にあふれ、技術的に複雑な第 1 楽章に必要な情熱をすべて注ぎ込み、独立性を示す素晴らしい演奏を披露した。」

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トリオ Latitude(ラティチュード)41

■ ピアノ三重奏曲第2番ホ短調 第1楽章 Op.92 / サン=サーンス



2025年1月 6日 (月)

知られざる名曲 第283回 武蔵坊弁慶 オープニングテーマ / 芥川也寸志

前々からこのシリーズの候補だった NHK新大型時代劇 「武蔵坊弁慶」の オープニングテーマ をご紹介します。39年も前のテレビ番組ですが、年配の方は覚えていらっしゃると思います。かく言う私もその一人です。

今では娯楽用の時代劇は全滅してしまいました。昔は、水戸黄門、暴れん坊将軍、必殺仕事人、大奥、遠山の金さん、銭形平次、大岡越前、忠臣蔵など時代劇全盛でした。多くは勧善懲悪で人情豊か、時代劇はテレビの花形でした。

何故時代劇が衰退したかと言うと、先ず製作費に金が掛かるからです。時代劇では建物も衣装も小道具も、何もかも作らねばなりません。昔の所作や殺陣を教える時間と手間も必要になります。

さらに、時代劇を見ているのは高齢者ということで、スポンサーは、購買力のある若い層が見る番組を好み、時代劇を敬遠しがちになったからでしょう。(一部読売新聞オンラインより)

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画像 NHK武蔵坊弁慶 中村吉右衛門(1986年)

この「武蔵坊弁慶」の オープニングテーマは、赤穂浪士のテーマ曲に次ぐ名曲です。芥川也寸志(1925 - 1989)の真骨頂と言える音楽です。

絶え間なく続く打楽器のリズム、前進する軽快な音楽、それでいて旋律は切なく、主人公の悲劇を連想させます。

■ 武蔵坊弁慶 オープニングテーマ / 芥川也寸志

演奏は、指揮:飯守泰次郎 新交響楽団 です。

バックの日本画は、葛飾北斎の「すずめとマグノリア」です。



■ 今まで取り上げた邦人作品リスト

 

 

2025年1月 1日 (水)

知られざる名曲 第282回 私を離さない愛 / エレーヌ・ハーゲンバーグ

新年あけましておめでとうございます。

当「知られざるクラシック名曲シリーズ」も、2021年スタート以来 3年10か月、その間280曲を超える名曲をご紹介して参りました。

知られざる名曲の多くが皆様にご視聴いただけたことで、埋もれていた過去の名曲・近代の新しい名曲が、わずかでも皆様のお耳に触れたことは、私に取っても大きな喜びです。

これからも、皆様と共感できる名曲との出会いを求めて一意専心して参ります。さらなるお引き立てをお願い申し上げます。

 

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画像 ACワークス


2025年最初の一曲は 讃美歌「私を離さない愛」です。

スコットランドの牧師ジョージ・マセソン(George Matheson1842-1906)の作詞による宗教作品です。

マセソン牧師は19歳で失明し婚約者を失いましたが、その後、4年間神学校に通いました。姉妹たちの助けを借り神学校を卒業した後、マセソン牧師はスコットランドの有名な保養地であるイネランの小さな教会の牧師として18年間働き、後にはエディンバラの2000人もの人々が通う聖バーナード教会という大きな教会の牧師となりました。(大久保バプテスト教会サイト参照)


私を放さない愛よ、

私の疲れた魂はあなたに安らぎます。
私が借りている命をあなたに返します。
あなたの海の深みで、その流れが
より豊かに、より満たされますように。

私の行く道をずっと追いかける光よ、
私は揺らめく松明をあなたに譲ります。
私の心は借りてきた光線を取り戻します。
あなたの太陽の輝きで、その日が
より明るく、より美しくなりますように。(出典:日々の礼拝のための賛美歌と祈り)


■ 私を離さない愛 "O Love"/ エレーヌ・ハーゲンバーグ


音楽は、米国アイオワ州出身の 作曲家エレーヌ・ハーゲンバーグ( HAGENBERG, Elaine 1979- )さん。

この讃美歌の言葉に感銘を受け、美しい旋律でマセソン牧師の敬虔な信仰心を表現しました。

 

コロナ、ウクライナ戦争以降、世界は混迷を極めています。
私たちの心に寄り添う癒しの音楽に触れ、皆様と共に平和を祈りたいと思います。

 

2024年12月29日 (日)

知られざる名曲 第281回 愛の喜びは露と消え(オーボエ)/モーツァルト

モーツァルトの最晩年のオペラ「 魔笛 K620 」。モーツァルトはこの曲が初演された3か月後、1791年12月5日に亡くなりました(享年35歳)。今回の知られざる名曲は、この「魔笛」のアリアが主役です。

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画像 ACワークス


「魔笛」第2幕、ザラストロの神殿で「沈黙」の試練を受ける王⼦タミーノ、そこに愛するパミーナが現れます。
タミーノは試練ゆえ話すことがでません。タミーノが何も喋ってくれないので嘆き悲しむパミーナ。

タミーノは沈黙のまま、パミーナに去るように合図します、愛を失ったと思いこんだパミーナ(ソプラノ)が悲嘆にくれて歌います。

ああ、私には分かるわ、もう愛が消え失せてしまったことが、
愛する幸福が消えてしまったことが。
喜びの時よ、あなたは決して、
私の胸には帰って来ないでしょう。
      

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「魔笛」と言えば、「夜の女王のアリア」が有名ですが、今回は第2幕で歌われる パミーナのアリア "愛の喜びは露と消え" を、オーボエ編曲版でお聴きください。


■ 愛の喜びは露と消え(オーボエ)/モーツァルト
Mozart: Die Zauberflöte, K. 620: Ach, ich fühl's, es ist verschwunden

オーボエ演奏は、アルブレヒト・マイヤー(Albrecht Mayer、1965 - )氏。ドイツの世界的オーボエ奏者です。
美しい音色に誰もが魅了されるでしょう。

編曲はマティアス・シュピンドラー (Matthias Spindler、1963 - )氏。マイヤー氏とのコンビは定評があります。

 

2024年12月16日 (月)

知られざる名曲 第280回 白鳥の歌 / ファニー・メンデルスゾーン

あのメンデルスゾーンのお姉さんは、名前を ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル(Fanny Mendelssohn-Hensel, 1805 - 1847)と言い、19世紀前半に活躍したドイツの作曲家です。

ピアノ曲と歌曲を中心に600曲近い作品を世に遺しましたが、当時の社会は女性作曲家を歓迎していませんでした。
近年になって、ファニー・メンデルスゾーンの名は、女性作曲家のパイオニアとして再評価されています。

今回は、そんな彼女の遺した名曲。
歌曲「白鳥の歌(Schwanenlied,Op.1 No.1)」を、ヴァイオリンの演奏でお聴きいただくことにしました。

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画像 ACワークス


原曲の歌曲は、ハイネの詩によります。
ご参考に雰囲気だけでも、その一部を記しました。

Es fällt ein Stern herunter
Aus seiner funkelnden Höh;
Das ist der Stern der Liebe,
Den ich dort fallen seh.

星が落ちる
輝く高みから。
これは愛の星です、
そこに落ちているのが見えます。(直訳)


■ 白鳥の歌(Schwanenlied,Op.1 No.1)/ ファニー・メンデルスゾーン

ヴァイオリン演奏は、Esther Abrami (エスター・アブラミ 1996- )さん、フランスの人気ヴァイオリニストです。

■ ご参考

知られざる名曲 第204回 Consolation(慰め)/ ポール・イボットソン

https://manriki358.cocolog-nifty.com/blog/2023/06/post-ce3661.html

 

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