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書の作品

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    師匠である 安田朴童先生、馬淵仙園先生のお手本を見て書かせていただいています。少しですが自己流の書もあります。 まだまだ未熟ですが、精進して参りますので、ご支援の程お願い致します。

左上の ▶ 再生ボタンを押して下さい。バッハ、イタリア協奏曲が流れます。もう一度押せば止まります。

壺中日月長とは

  • ある町に住む薬売りの老人(実は仙人)は、店先にぶらさがっている壺に時々身を隠してしまいます。 壺の中は別天地。時は悠々と流れ、豊かで充実した人生がありました。 人は、心の持ち方で、このような境涯に達することが出来るのでしょうか。 定年後は、「何をしてもいい自由」と、「何もしなくてもいい自由」 を得たのですが、私も壺中日月長の心境で、悠々としながらも豊かで充実したセカンドライフを目指したいと思います。 このブログは、そんな日々の出来事や思いを書き留めたいと始めました。
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2023年3月26日 (日)

知られざる名曲 第192回 A Place Called Morning / ビル・ダグラス

カナダの作曲家 ビル・ダグラス( Bill Douglas 1944- )は、音楽家の両親に恵まれました。父親はトロンボーンを演奏してビッグバンドで歌い、母親は教会でオルガンを演奏していました。

彼の最初の記憶は、3 歳のときにおもちゃの楽器を使ってワンマン バンドで演奏したことです。4 歳でピアノのレッスンを開始し、7 歳でウクレレとギターを独学で学びました。

13歳でファゴットを始め、クラシック音楽とジャズの両方に興味を持つようになり、14 歳で最初のジャズ曲を書きました。17 歳でクラシック ピアノの「トロント王立音楽院のアソシエイト」ディプロマを取得。

その後、トロント大学に通い、音楽教育の学士号を取得しました。この頃、彼は20 世紀のクラシック音楽に非常に興味を持ちました。1967 年、ダグラスはトロント交響楽団と3 つの協奏曲を演奏しました。彼は1968 年にファゴットを専攻して音楽修士号を取得し、1969 年に作曲で音楽芸術の修士号を取得しました。

彼はまた、ピアニストのピーター・サーキンらと共に クラシック室内楽の 3 つの RCA アルバムを録音しました。今ではカナダの作曲家、作家、音楽出版者協会(SOCAN)並びに米国作曲家、作家、出版者協会(ASCAP)に所属しています。

彼の作品は、世界中の主要なオーケストラや室内楽グループによって演奏されています。同時に彼は、コロラド州ボールダーのナロパ大学で29 年間教鞭をとっています。そして彼の音楽の CD は 13 枚リリースされています。(Wikipediaより一部転記)

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画像 ACワークス(株)

ダグラスは非常に前衛的な 無調音楽を書いていましたが、ロンドンで1 年間 作曲を学んだ後、1970 年から 1977 年まで、カリフォルニア州バレンシアのカリフォルニア芸術大学で教鞭を執りました。その頃には生徒たちのために叙情的な作品も手掛けるようになりました。

今回の曲も、とても聴き易いクラシック曲です。

■ A Place Called Morning / ビル・ダグラス



森の賛歌であるこの曲は、ピアノ、オーボエ、ファゴット、クラリネット、フルートがオーケストラに良く溶け込んで美しいハーモニーを奏でます。
自然を愛するすべての人に聴いて欲しい名曲です。

就寝前に聴けば、感謝に満たされて眠りにつくことが出来ます。是非お試し下さい。

2023年3月23日 (木)

知られざる名曲 第191回 NADA TE TURBE(恐れるな煩うな)・ ジャック・ベルティエ

当知られざる名曲シリーズの第175回で、同名(NADA TE TURBE)の作品を紹介しましたが、今回(191回)の作品は作曲家が違います。

この曲は、フランスの典礼音楽の作曲家 ジャック・ベルティエ (Jacques Berthier 1923年6月27日 – 1994年6月27日) によって書かれたものです。余談ですが、誕生日と死亡日が 6月27日で偶然にも一致しています。

彼は、テゼで使用される音楽の多くを書いたことで最もよく知られています。

※テゼとは、フランス、ブルゴーニュ、ソーヌエ ロワールのテゼにあるエキュメニカルな キリスト教の修道会です。

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画像 ACワークス(株)

テゼは、若者に焦点を当てた、世界で最も重要なキリスト教徒の巡礼地の 1つになりました。世界中の 100,000人以上の若者が、祈り、聖書研究、分かち合い、共同作業のために、毎年テゼに巡礼します。コミュニティのエキュメニカルな展望を通じて、彼らは親切、単純さ、和解の精神で生きることが奨励されています。(Wikipedia海外版より)

■ 知られざる名曲 第191回 NADA TE TURBE(恐れるな煩うな 1986年作)・ ジャック・ベルティエ



詩は、聖テレサ(1515ー1582)によって書かれました。
彼女は、スペインのローマ・カトリック教会の神秘家であり、修道院改革に尽力した人物です。

Nada te turbe,
nada te espante,
quien a Dios tiene
nada le falta.
Solo Dios basta.
Todo se pasa,
Dios no se muda,
la paciencia
todo lo alcanza

あなたを邪魔するものは何もありません
あなたを怖がらせるものは何もありません
恐れることもわずらうこともないのです
あなたはすでに神によって満たされています

2023年3月18日 (土)

知られざる名曲 第190回 ラヴェンダーの咲く庭で / ナイジェル・ヘス

第190回目の知られざる名曲は、イギリスの作曲家 ナイジェル・ヘス(Nigel Hess、1953 -  )による夢見るような美しい曲を選びました。

この曲は、2004年のイギリスのドラマ映画「ラヴェンダーの咲く庭で」のテーマ曲で、通常はヴァイオリンとオーケストラによって演奏されます。

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画像 ACワークス(株)

1936年。イギリス、コーンウォール。地方の美しい漁村に暮らす初老の姉妹。
二人は両親の残した屋敷と財産に恵まれ、庭の花々の手入れや読書を楽しみながら日々を穏やかに過ごしていた。

ある嵐の翌日、姉妹は眼下の浜辺に若い男性が倒れているのを発見する。彼はドイツ語をしゃべるヴァイオリニストだった。

姉妹は彼を看病して行くうちに彼に心を惹かれていく。(Wikipediaより一部転記)


■ ラヴェンダーの咲く庭で(Ladies in Lavender)/ ナイジェル・ヘス



高画質の自然美、地球にはまだこんな美しい風景が残っていました。

ヴァイオリンの ジョシュア・ベルは、(Joshua Bell, 1967 -  )は、アメリカインディアナ州ブルーミントンで生まれ。グラミー賞受賞者。 1985 年にセントルイス交響楽団と共にカーネギー ホールにデビュー以来世界的に活躍しています。

尚この曲は、フィギアスケートの浅田真央選手がショートプログラムで使用しました。この映像がまた素晴らしいのです。
リンクは https://www.youtube.com/watch?v=8445yRk3xa8(リンク切れはご容赦下さい)

2023年3月15日 (水)

映画「TAR ター」天才女性指揮者の苦悩とは

コロナの影響で、世界的に音楽映画が激減しました。
今回は久しぶりの更新になります。


■ 映画「TAR ター」アカデミー賞6部門ノミネート

ドイツの名門オーケストラで、女性としてはじめて首席指揮者に任命されたリディア・ター。

天才的能力とたぐいまれなプロデュース力で、その地位を築いた彼女だったが、今はマーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャー、新曲の創作に苦しんでいた。

そんなある時、かつて彼女が指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけられたターは追い詰められていく。(映画.comより転記)

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(C)2022 FOCUS FEATURES LLC. 映画.com

トッド・フィールド監督が16年ぶりに手がけた長編作品。ケイト・ブランシェット主演。

フィールドの真に迫った演出のために、本作の主人公、リディア・ターが実在の人物であると思い込んだ観客が少なからず出たが、彼女は架空の人物である。

劇中使用曲は、マーラー交響曲第5番。

映画「TAR ター」2022年製作/158分/G/アメリカ(原題:Tar)
劇場公開日:2023年5月12日

TAR ター 公式サイト

 

2023年3月10日 (金)

知られざる名曲 第189回 ミリアーノの伝説/アルトゥロ・マルケス

メキシコ人の現代音楽作曲家 アルトゥロ・マルケス(Arturo Márquez Navarro 1950-)の二度目の登場です。

Wikimedia Commons によると、マルケスは 1950 年アラモス生まれ、そこで音楽への関心が始まりました。
マルケスは、音楽家の父を持つ9人兄弟の長男ですが、音楽家になったのは彼だけでした。

幼い頃からメキシコの「サロン ミュージック」に触れたマルケスは、16 歳で作曲を始め、メキシコ音楽院に通い、1970 年から 1975 年までピアノと音楽理論を学びました。その後作曲を学び、そして1990 年にカリフォルニア芸術大学で作曲のMFAを取得しました。

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画像 ACワークス(株)

彼の音楽には、彼の母国メキシコのフォームとスタイルが組み込まれています。

以前ご紹介した知られざる名曲第11回 ダンソンNo.2で世界的に名を知られたマルケスのもう一つの傑作がこの「ミリアーノの伝説」です。

そのエネルギーに満ちた躍動感に魅了される方は多いと思います。今の日本の閉塞感を吹き飛ばしてくれる音楽です。


■ ミリアーノの伝説 
(Leyenda de Miliano) / アルトゥロ・マルケス



指揮は、アロンドラ・デ・ラ・パーラ(Alondra de la Parra )さん、メキシコ出身。その美貌と華麗な指揮ぶりが人気です。

2023年2月27日 (月)

知られざる名曲 第188回 アカシアの径 / 多田武彦

久しぶりに合唱曲を取り上げてみました。

日本の合唱界に燦然と輝いた作曲家 多田 武彦(ただ たけひこ、1930 - 2017)は、生涯に700曲にも及ぶ合唱曲を遺し、特に男声合唱の作品には定評があります。実は私も歌ったことがありますが、懐かしい思い出です。

1954年(昭和29年)に北原白秋の詩による男声合唱組曲『柳河風俗詩』を発表、この曲は彼の代表作になりました。当時としては数少ない男声合唱のレパートリーとして歓迎され、その後は銀行勤務の傍ら日曜作曲家として多数の作品を発表しました。(Wikipedia参考)

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画像 ACワークス(株)

今回は、組曲ではなく単独の男性合唱の曲です。
この曲は、当ブログに約8年前に載せております。

■ ご参考 コバケンの歌う 多田武彦


■ アカシアの径 / 作曲 多田武彦・作詞 鈴木薫 (多田武彦のペンネーム)



テノールソロは、ご存じ指揮者の「コバケン」こと小林研一郎です。美声です。

「ロマンティックなメロディ」、「切ない歌詞」、「甘い歌声」、三拍子そろった名曲です。


君と歩いた アカシアの径を
僕は一人で 歩いてゆく
君と探した しあわせの星は
夜霧の中に 消えてしまいそうだ

‥‥

 

2023年2月23日 (木)

知られざる名曲 第187回 オリエンタル / グラナドス

スペインの作曲家 エンリケ・グラナドス(Granados, Enrique 1867-1916)の2度目の登場です。

曲名は「オリエンタル」。原曲はピアノ曲「スペイン舞曲 Op.37 第2番」ですが、今回はチェロの演奏でお聴き下さい。

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画像 ACワークス(株)

当シリーズでも書きましたが、グラナドスは悲劇の作曲家です。1916年1月、 グラナドス夫妻が乗船した客船サセックス号は、英仏海峡を渡航中、ドイツ軍潜水艦による魚雷攻撃を受け、夫妻はその犠牲となったのです。

戦争で犠牲になった音楽家はいますが、潜水艦の魚雷攻撃で亡くなった音楽家はグラナドス一人だと思います。

このとき、グラナドスはいったん救命ボートに救い上げられましたが、波間に沈もうとする妻アンパロの姿を見て再び海中に身を投じ、二人はもつれ合うように暗い波間に消えたといいます。グラナドス48歳でした。(一部Wikipediaより)

■ ご参考 知られざる名曲 第20回

どこか物悲しげな曲は、グラナドスの人生の最期を表しているかのようです。


■ オリエンタル(Oriental)/ グラナドス



情感豊かなチェロは、スペイン出身の若手チェリスト、パブロ・フェランデス(Pablo Ferrández)。
ピアノは、ロシア出身の実力派ピアニスト 
デニス・コジュヒンDenis KOZHUKHIN)です。

この二人の演奏家も2度目の登場になります。

2023年2月14日 (火)

知られざる名曲 第186回 ノクターン2番/フィールド

今回は、ジョン・フィールド(John Field, 1782 - 1837)のノクターン(夜想曲)に着目しました。

ノクターン(夜想曲)と言えばショパンが有名ですが、ショパン以前に世界で初めてピアノ曲として「ノクターン(夜想曲)」というジャンルを確立させたのが、ジョン・フィールドです。彼はショパンより38歳年上でした。

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ジョン・フィールドは、19世紀の初頭に活躍したアイルランドの作曲家兼ピアニストで、音楽の家系に育ち20歳の頃には、パリやウィーンなどヨーロッパ各地で名声を博していました。主な作品は、ピアノ協奏曲、ピアノソナタ、ノクターンなどピアノ曲が中心です。
ノクターン2番は、18曲ある彼のノクターンの代表的作品ですが、まだあまり知られていません。

■ ノクターン2番 ハ短調 / ジョン・フィールド

ピアノ演奏は、シカゴ生まれの韓国系ピアニスト エリザベス・ジョイ・ロウ (Elizabeth Joy Roe) さんです。

彼女の弾いた「フィールド:ノクターン全集」は、2016年レコード芸術誌の特選盤に選ばれています。

2023年2月 4日 (土)

知られざる名曲 第185回 古いフランスの歌 / チャイコフスキー

チャイコフスキーの「こどものためのアルバム」作品39は、全24曲からなるピアノ曲集です。

今回は、その曲集の第16番「古いフランスの歌(Old French Song)」を選びました。

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この曲は、当時7歳であったチャイコフスキーの甥であるウラディーミル・ダヴィドフに捧げられています。

チャイコフスキーは後に、22歳になった ダヴィドフに「悲愴交響曲」について書簡を送っており、二人は音楽的に親密だったようです。

尚、チャイコフスキーは、「悲愴交響曲」の初演から5日後の 11
月2日に発病し、11月6日に亡くなっています。

この曲を聴きながらチャイコフスキーに思いを巡らせてみましょう。


■ 古いフランスの歌 / チャイコフスキー(
Tchaikovsky) ※繰り返しあり



美しくもはかなさを感じるこの作品。

子供のためのアルバムには似つかわしくないと言う人もいます。
しかし、この曲を習うことで豊かな感性が育まれることは間違いありません。

2023年2月 1日 (水)

知られざる名曲 第184回 ファントム・メロディ / ケテルビー

「ペルシャの市場」で有名なイギリスの作曲家 アルバート・ケテルビー(Albert Ketèlbey, 1875 - 1959) の二度目の登場です。

前回ご紹介した「牧場を渡る鐘」も隠れた名曲でしたが、今回の ファントム・メロディも、まさにクラシックの知られざる名曲です。

■ 前回ご参考 牧場を渡る鐘 ケテルビー

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ちなみに、この3曲を作曲した年齢は、ファントム・メロディ(37歳)、ペルシャの市場(45歳)、牧場を渡る鐘(46歳)です。

ファントムメロディで世に出たケテルビーは、ペルシャの市場で大ヒットして、その後英国で最初の億万長者の作曲家になりました。

■ ファントム・メロディ (The Phantom Melody) /ケテルビー



夢の中を彷徨うような不思議な感覚。詩情豊かな小品です。

2023年1月17日 (火)

知られざる名曲 第183回 ここは素晴らしい場所(チェロ版) / ラフマニノフ

誰もが認めるメロディメーカーと言えば、ロシアの作曲家 ラフマニノフ (Sergei Rachmaninoff、1873-1943)でしょう。甘く美しいメロディをたくさん書きました。

その中から、1902年に書かれた歌曲集「12の歌」の第7曲「ここは素晴らしい場所(How Fair this Spot) 」Op.21-7 を、今回はチェロの演奏で聴いてみたいと思います。

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「ここは素晴らしい場所」
 詩 G.ガリーナ

ここは素敵よ 見て、向こうよ
川は輝くばかりでしょ

草原は絨毯のように広がり
雲がぽっかり浮かんでいるわ

ここには誰もいない・・ただ静けさのみ
ここには神さまと私がいるだけ

美しい花々と年経た松と
そしてあなた 私の夢・・・

 

この曲は、ラフマニノフの妻 ナターシャに捧げられました。

■ ここは素晴らしい場所(チェロ版)/ ラフマニノフ



チェリストは、スペイン出身の パブロ・フェランデス(PabloFerrández)さん。

ピアニストは、ロシア出身の デニス・コジュヒン(Denis KOZHUKHIN) さん。
共に30代の若き芸術家です。

2023年1月16日 (月)

知られざる名曲 第182回 間奏曲第1番 / ポンセ 

演奏機会の少ない中南米のクラシック音楽には知られざる名曲が多く存在します。

中でも、メキシコの作曲家、マヌエル・ポンセ( Ponce, Manuel 1882-1948)は、交響詩やヴァイオリン協奏曲、歌曲、ギター作品を作曲しましたが、そのロマン的な作風は人気があります。

■ ご参考小さな星(エストレリータ)聴いたことがある方も多いと思います。

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画像 ACワークス(株)

今回は、200曲に及ぶピアノ曲を書いた ポンセの代表作「間奏曲第1番ホ短調」にスポットを当てました。


■ 間奏曲第1番( 
Intermezzo No.1 e-moll )/ ポンセ



こんなに心が満たされる演奏はあったでしょうか。まさにランランならではの魂の演奏です。

 

2023年1月15日 (日)

知られざる名曲 番外編32 ヴァイオリンソナタ 第1楽章/ エックレス


今回はイギリスのバロック時代の作曲家 ヘンリー・エックレス(Henry Eccles 1675-1745)を取り上げました。

エックレスは有名ではありませんが、鈴木ヴァイオリンメソッド第8巻に出てきますので、ヴァイオリンを習っている方はご存じかも知れません。

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何も説明の要らないト短調で始まる美しい曲です。


■ エックレス ヴァイオリンソナタ 第1楽章( Eccles Violin Sonata 1st mov.)

2023年1月 2日 (月)

知られざる名曲 番外編31 You're In My Chair(美しく青きドナウ)/ 歌う猫たち

面白いビデオを見つけました。これは新年に相応しいパロディ動画です。

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画像 ACワークス(株)

世界的なコロナパンデミックで、どの飼い主も在宅時間が増えました。
猫たちは嬉しい反面、ストレスを感じています。

主人が留守の間、いつもは猫たちが座っている椅子も、主人に占領されたままです。

18匹の猫たちが歌うヨハン・シュトラウス二世の「美しく青きドナウ」。
お楽しみ下さい。(猫が苦手な方には m(__)m)


■ You're In My Chair(美しく青きドナウ) / 歌う猫たち



2023年1月 1日 (日)

知られざる名曲 第181回 ほたるのワルツ / エドゥアルト・シュトラウス1世

新年恒例のニューイヤーコンサート。ウィンナワルツは、「美しく青きドナウ」など名曲のオンパレードです。

当知られざる名曲シリーズでは、ワルツ王と呼ばれた ヨハン・シュトラウス2世の弟、エドゥアルト・シュトラウス1世(1835ー1916, オーストリア ウィーン)の作った「ほたるのワルツ」を選曲しました。

この曲は、ウインナワルツとしては一級なのに何故か日本では演奏されません。

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ほたるは日本だけのものと思っていましたが、世界中に生息しているようです。もちろんウィーンにも。

日本では「蛍」にちなんだ曲がたくさんありますが、世界では「蛍」がタイトルに付く曲はあまりありません。

ちなみに、「蛍の光(スコットランド民謡)」も、原曲はオールド・ラング・ザイン(Auld Lang Syne)という曲で、蛍は登場しません。

蛍は幻想的で、乱舞する光の美しさも格別ですが、海外では音楽にあまり登場しないのは不思議ですね。



■ ほたるのワルツ(Leuchtkäferln-Walzer)/ エドゥアルト・シュトラウス1世

2022年12月23日 (金)

知られざる名曲 第180回 自由の大地 / 服部克久

パリ音楽院(コンセルヴァトワール)を卒業した 日本人作曲家 服部克久(1936-2020 83歳没)が今回の主役です。

ヒットシリーズ「音楽畑」を始め、「ル・ローヌ」、「Friends, Love, Believing」と今回の「自由の大地」は代表作でもありますので、この曲をご存じの方も多いと思います。

しかし意外とクラシックファンはこの名曲を知らないことも多く、今回は敢えて「知られざる名曲」に加えました。

4代続く音楽家

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お父上は「青い山脈」で有名な 服部良一氏、そして今回登場の 服部克久氏、そのご子息の作曲家 服部隆之氏、そのご息女のヴァイオリニスト 服部百音(もね)氏。4代続く音楽家はとても珍しいと思います。

ご参考 当ブログ記事 親子4代の音楽家 DNAの継承


■ 自由の大地 / 服部克久



出だしの美しいメロディが忘れられません。

この映像は、2021年11月16日・17日に新国立劇場で開催された服部克久追悼コンサートのものです。

指揮は 服部隆之氏。88名のオーケストラが、クラシックとポップスの架け橋になった服部サウンドを奏でます。

2022年12月 6日 (火)

知られざる名曲 第179回 エレジー風ポロネーズ / ノスコフスキ

今回は、ポーランドの作曲家 ジグムント・ノスコフスキ (Zygmunt Noskowski, 1846 - 1909)を取り上げますが、同じポーランド出身のショパンの陰に隠れてでしょうか、彼の名前は日本ではあまり知られていません。

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画像 ACワークス(株)

ワルシャワで生まれ、ワルシャワで没した 当時のポーランド音楽界の重鎮ノスコフスキ の「エレジー風
ポロネーズ」を ギターデュオでお聴き下さい。(原曲はピアノ曲)

■ エレジー風ポロネーズ / ノスコフスキ



息の合った演奏は、クピンスキー・ギター・デュオ (Kupinski Guitar Duo) です。

来日公演を聴いた方もいらっしゃるかも知れませんが、二人(エヴァ・ヤチンスカ、Ewa Jabłczyńska とダリウス・クピンスキー、Dariusz Kupiński ) の、アイコンタクトを取った演奏はとても素敵です。

曲のタイトルはエレジー(悲しみ)となっていますが、この二人の演奏を聴くと、幸せな気分になれるのです。

 

2022年12月 4日 (日)

知られざる名曲 第178回 サルスエラ組曲 / ルイス・コボス

ワールドカップで日本は強豪スペインに勝ちました!
そのスペインの作曲家(兼指揮者) ルイス・コボス( Luis Cobos. 1948 - )が今回の主役です。

非常に軽快で情熱的な音楽です。
題名の「サルスエラ」は、スペインの叙情的オペラ音楽で国民的人気があると言われています。

ルイス・コボスは、この「サルスエラ(1982)」で作曲家としての地位を不動にしましたが、それ以後も大衆に人気のクラシック曲、ムード音楽やオペレッタを書いて、スペイン音楽界の大御所として現在も活躍中です。

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彼の生まれた スペイン カンポ・デ・クリプタナ 画像ACワークス(株)
 

当シリーズでは久しぶりに心躍る音楽を選びました。
再生回数360万回超えの名曲です。


■ サルスエラ組曲 / ルイス・コボス



作曲者自身の指揮による情熱的な演奏です。
全身からあふれる音楽が会場を包んでいます。

2022年11月25日 (金)

知られざる名曲 第177回 テレマンのアリア

「テレマンのアリア」、何と美しい曲でしょう。でも意外と知られていません。

この動画をアップされた方も、「パッヘルベルのカノン」や「アルビノー二のアダージョ」にも負けないこの曲を是非聴いてもらいたい、と言ってます。

テレマン(Georg Philipp Telemann、1681 - 1767 ) は、ヘンデルやバッハと同じバロック後期のドイツの作曲家です。

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300年も前、当時は テレビも CD も YouTube もありませんから、曲をヒットさせることは大変な事だったと思います。

サロンなどの会場で、著名な演奏家に弾いてもらうことが出来れば幸運ですが、楽譜が出版されることもままならぬ時代、プログラムに選曲されて演奏されるなど稀なことだったと思います。

こうして名曲であっても世に出る機会を失った作品が多く存在するのだと思います。


■ アリア / テレマン
原曲は、マニフィカト「Meine Seele erhebet den Herrn(わたしの魂は主をあがめ)TWV 9:18」 より「Der Hungrigen fullet er」



演奏は、クルト・レーデル指揮、ミュンヘン・プロアルテ管弦楽団。
少し年配のクラシックファンには懐かしい演奏団体です。

2022年11月21日 (月)

知られざる名曲 第176回 ユーカリ/ クルト・ヴァイル

今回は、ドイツの20世紀の作曲家 クルト・ヴァイル(Kurt Weill、1900 - 1950)のタンゴ「ユーカリ」にスポットを当てました。

彼は、ユダヤ人作曲家であったことから、ナチス当局から危険視されるようになり、後期の作品の発表時には、コンサート会場でナチ党員によって組織された暴動が何度も起きました。そして舞台作品の上演は、ナチス当局による暴力的な干渉のため中断せざるを得なかったと言います。

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ヴァイルの代表作「三文オペラ」2013新国立劇場映像より

1933年にパリへ逃れることを余儀なくされたヴァイルは、その地でバレエ音楽や交響曲を完成させました。
1935年になるとアメリカ合衆国に移住してポピュラー音楽を研究し、数多くのミュージカル作品を残しています。(一部Wikipediaより)

この「ユーカリ」は、その頃(1934年)Jacques Deval の劇「マリーギャランテ Marie galante」の付随音楽として作ったものです。のちにロジェ・フェルネ (Roger Fernay、1905-1983) がフランス語の歌詞を付けました。

ユーカリ そこは憧れの国
ユーカリ それは幸せ そして喜び 
ユーカリ そこは悩みも忘れられる場所(歌詞一部)


■ ユーカリ (Youkali Tango Habanera ) / クルト・ヴァイル



■ タンゴはクラシックか?

以前、当「知られざる名曲」シリーズ 第6回で、シュニトケのタンゴ ココ をご紹介しましたが、クラシックの作曲家でもタンゴを書いた人はいます。もちろん、タンゴという音楽が発祥した後の18世紀後半以降になりますが、有名な曲は「アルベニスのタンゴ」です。

また、ビゼーのカルメンに登場する有名な「ハバネラ」は、フラメンコと混ざり合ってアルゼンチンに上陸し「タンゴのルーツ」になったと言われています。

アルフレッド・ハウゼ楽団の演奏で有名な「真珠採りのタンゴ」は、ご存じビゼーのオペラ「真珠採り(しんじゅとり)」中のアリア『耳に残るは君の歌声』が原曲です。タンゴのリズムがクラシック曲に馴染んだ好例です。

近年では、アルゼンチンのピアソラがいます。彼は音楽理論を学んで、総仕上げとしての「ピアノ・ソナタ」など、クラシカル作品を残しましたが、クラシックの作曲家を目指して渡仏し、やがてクラシック、ジャズの要素を融合させた独自の音楽形態を確立しました。


ユーカリ (Youkali Tango Habanera ) はタンゴですが、お洒落でクラシカルな作品です。ジャンルを超えてご紹介いたしました。

2022年11月17日 (木)

知られざる名曲 第175回 NADA TE TURBE(恐れるな煩うな)/ マルコ・フリジーナ

この曲に出会えて本当に幸せを感じます。

バッハ以来、これほどの宗教音楽はあったでしょうか?

作曲したのは、イタリアの マルコ フリジーナ (Marco Frisina 1954 - ) 、作曲家 兼 ローマ カトリック教会の司祭です。

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フリジーナはローマのサピエンツァ大学で文学を専攻し、その後名門サンタ チェチーリア音楽院で作曲を学びました。

さらに、教皇庁グレゴリオ大学で神学を学び、ローマ教皇庁聖書研究所で聖書のライセンスを取得。1982 年に司祭に叙階され、サンタ チェチーリア教会の牧師に就任しました。 彼は教皇庁の聖十字架大学と教皇庁の宗教音楽研究所の教授でもあります。

現在彼は、32人の聖歌隊員と2人のオルガニストで構成された合唱団である聖ヨハネ・ラテラノ大聖堂のラテラン教皇敬虔礼拝堂の監督を務めています。マルコ・フリジーナ 公式サイト(Wikipediaより一部転記)

今回選曲した「NADA TE TURBE(恐れるな煩うな)」は、アビラの聖テレサ(洗礼名 Teresa de Cepeda y Ahumada,1515 - 1582)の詩によるものです。

Nada te turbe,
nada te espante,
quien a Dios tiene
nada le falta.
Solo Dios basta.
Todo se pasa,
Dios no se muda,
la paciencia
todo lo alcanza

あなたを邪魔するものは何もありません
あなたを怖がらせるものは何もありません
恐れることもわずらうこともないのです
あなたはすでに神によって満たされています


■ NADA TE TURBE(恐れるな煩うな)/ マルコ・フリジーナ



司祭たちが皆んな放心状態で曲に聴き入っています。
「感動」とは、このような曲のためにある言葉でしょうか。

この音楽は、ドラマティックで色彩豊かです。
そして強力なメッセージを発しながらも、敬虔な祈りに満ちています。
ソリスト、合唱、管弦楽の見事なアンサンブルに引き込まれます。

(余談ですが、聴衆の中にミュージカル「オペラ座の怪人」の作曲者 アンドリュー・ロイド・ウェバー がいたようです。)

尚、素晴らしい歌唱は、メゾソプラノ: Serena Scarinzi テノール: Sebastiano Giotta。
合唱団&オーケストラ「ニコラ・ヴィターレ」指揮は作曲者自身です。


2022年11月13日 (日)

「鎌倉殿の13人」とクラシック音楽

本年(2022年)からスタートした NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」


■ これまでの使用クラシック曲

第 1話「大いなる小競り合い」→ 「新世界より」 第4楽章
(交響曲第九番 ドヴォルザーク)

第12話「亀の前事件」→ 四季より「冬」第1楽章
(ヴィヴァルディ)

第13話「幼なじみの絆」→ 四季より「冬」第1楽章(ヴィヴァルディ)

第18話「壇ノ浦で舞った男」→ 四季より「冬」第1楽章(ヴィヴァルディ)

第19話「果たせぬ凱旋」→ 四季より「冬」第1楽章(ヴィヴァルディ)

第31話「諦めの悪い男 」→ 無伴奏チェロ曲(バッハ 無伴奏チェロ組曲風?)
                                         ※曲名が判明したら記載します

第32話「災いの種」→ 四季より「冬」第1楽章(ヴィヴァルディ)・ 無伴奏チェロ曲(バッハ 無伴奏チェロ組曲風?)

第38話「時を継ぐ者」→ 四季より「冬」第1楽章(ヴィヴァルディ)・レクイエム(死者のためのミサ曲」より "怒りの日" (モーツァルト)

第40話「罠と罠」→ レクイエム「死者のためのミサ曲」より "怒りの日"(モーツァルト)

第41話「義盛、お前に罪はない」→ レクイエム「死者のためのミサ曲」より "怒りの日"(モーツァルト)

第42話「夢のゆくえ」→ 「新世界より」 第4楽章、第2楽章(交響曲第九番 ドヴォルザーク)








日本の時代劇に、西洋クラシック音楽が使われることは異例のことです。

しかし違和感はありません。むしろドラマに合っています。

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音楽は、アメリカの名門 バークリー音楽大学映画音楽作曲科卒業の エバン・コール(Evan Call、1988年6月29日 - )さん、現在33歳の若さです。※バークリー音楽大学と言えば世界のミュージシャンを輩出した大学として有名です。日本の渡辺貞夫さんや小曽根真さんなどもバークリー出身です。最近はボストン音楽院を買収し、クラシック音楽の学科を複数開設しています。

エバン・コールさんは日本アニメのファンで、現在は主に日本で作曲・編曲家として活躍中です。
今回、クラシック音楽(ドヴォルザークの「新世界」・ヴィヴァルディ「四季」)を使用したことは、NHK大河ドラマ史上(61作品)初めてのことです。

これからもクラシック音楽が使われるとすれば、とても斬新な発想で歓迎すべきことです。
大いに期待したいと思いました。

2022年11月12日 (土)

知られざる名曲 第174回 メランコリックワルツ / ダルゴムイシスキー

19世紀のロシアの作曲家 ダルゴムイシスキーが今回の主役です。あまり聞き慣れない名前です。

アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・ダルゴムイシスキー(Aleksandr Sergeevich Dargomizhskii
 1813 - 1869)は、主にオペラ作曲家として有名でしたが、他に歌曲やピアノ曲も作りました。

そのピアノ曲の1曲が「メランコリックワルツ(Melancholic Waltz)」です。
ダルゴムイシスキー12歳の瑞々しい小品です。

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画像 ACワークス(株)

■ メランコリックワルツ / ダルゴムイシスキー

ロマンティックな美しい曲ですが、どことなく憂いを感じるピアノの小品です。


実はメランコリックワルツという曲は数曲あります。

中でも、ラトビアの作曲家
エミールス・ダルツィシュ(1875  - 1910 34歳没) の 「メランコリック ワルツ(Melanholiskais valsis)」は知られざる名曲です。ご参考にお聴き下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=GK5vZr-Qn40(リンク切れはご容赦下さい)

2022年11月10日 (木)

知られざる名曲 第173回 秋の月 / 作詞・作曲 瀧廉太郎、編曲 山田耕筰

11月8日(2022年)の皆既月食はご覧になられましたか?

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画像 ACワークス(株)

月は1年を通じて見れますが、やはり秋の月は格別です。ですから「月」と言えば、秋の季語となります。

さて、今回は 瀧廉太郎(1879-1903)作詞・作曲の 日本歌曲「秋の月」を選びました。しんみりした名歌です。

詳しくは、2016年10月30日付け当ブログ 「秋の月/滝廉太郎の詩」
をご覧下さい。


■ 日本歌曲「秋の月」 / 作詞・作曲 瀧廉太郎、編曲 山田耕筰



歌唱は、弥生歌月(やよいかげつ)さん。ピアノ伴奏も弥生歌月さんです。

光はいつも かはらぬものを

ことさら秋の 月のかげは

などか人に ものを思はする

あゝなく虫も おなじこゝろか

こゑのかなしき

 

2022年11月 4日 (金)

知られざる名曲 第172回 ピアニシモの秋/中田喜直

秋本番、ベストシーズンに聴く「知られざる名曲」2曲目は、日本の中田喜直(1923 - 2000)作曲の「ピアニシモの秋」です。

中田喜直と言えば、「めだかの学校」「夏の思い出」 「ちいさい秋みつけた」 「雪の降るまちを」等々どなたもご存じの名歌を作った日本を代表する作曲家です。

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ピアニストを志望して東京芸術大学に入学するも、太平洋戦争によって中断。飛行戦隊としてフィリピン戦線やインドネシアに赴き、本土で特攻隊要員として終戦を迎えたと云う経歴は壮絶でもあります。

戦後は、NHKのラジオ番組に積極的にかかわり、これらの番組において「夏の思い出」や「雪の降るまちを」などを生み出しましたが、それまでの日本の文化だった「童謡」を排斥。対立ジャンルとして立ち上げた「新しい子どもの歌」を推して、最盛期にあった童謡を衰退に導いた、とされます(Wikipedia)。

功罪両面の中田喜直でしたが、生涯に3000曲もの新作を世に出し76歳の生涯を閉じました。

■ ピアニシモの秋/中田喜直作曲・山川啓介作詞



ソプラノは藤原唯さん、ピアノは齋藤亜都沙さんです。

過去へ戻れる 道を探して
風の街角 歩きます

愛した人の 呼んでる声が
遠く聞こえた気がします
幸せなのに 淋しくて
そっとふり向く 秋

(山川啓介歌詞の一部)

2022年10月31日 (月)

知られざる名曲 第171回 秋「小さなアダージョ」/ グラズノフ

秋本番です。ベストシーズンに聴く名曲は、ロシア帝国~ソビエト連邦の作曲家 グラズノフ(Aleksandr Konstantinovich Glazunov 1865 - 1936)のバレエ音楽「四季」から選びました。グラズノフは当シリーズ初登場です。

グラズノフは裕福な家庭で育ち、ピアノや作曲では神童といわれました。さらに富裕な材木商人の援助もあり、作曲家としての名声が頂点にある時、このバレエ音楽「四季」が書かれました。

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※「四季」(Времена года)作品67(1899年) - 1幕4場からなる小バレエ音楽。冬に始まり秋に終わる。特定の物語を持たず、自然の情景を表現している。(Wikipedia)

■ バレエ音楽「四季」Op.67 より 秋 小さなアダージョ / グラズノフ



ロシアにも四季はありますが、寒い冬がやたら長く、その分夏は短く、春は雪解けで町中が汚れているそうです。しかし秋は木々が黄金色に色づくことから、詩人プーシキン が「黄金の秋」と名付けたと言われるほど美しいシーズンと言われています。

チャイコフスキーもピアノ曲「四季」を書いています。ご参考にお聴き下さい

『四季』より「10月 秋の歌」演奏/石原可奈子



知られざる名曲を考察する(17)不安の時代に聴くクラシック 

世界は戦争の暗い影の中にあり、コロナの終息も不透明です。そして相変わらず自然災害が世界を襲っています。加えて日本では物価高が庶民の生活を襲っています。一方政治は旧統一教会問題で紛糾し、国民の生活どころではありません。

嘆いてばかりいられませんが、「こんな世界に誰がした!」と叫びたくなります。

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クラシック音楽の世界では、最近(2022・10・27)、ジュネーブ国際音楽コンクールの作曲部門で、日本の中橋祐紀さんが準優勝したとの嬉しいニュースが届きました。NHKニュース (リンク切れはご容赦下さい)

ただ残念なことに、クラシックコンサートのプログラムに現代音楽が選ばれることはまだまだ少ないのが現状です。
コロナ対策が緩和され、せっかくコンサートが戻ってきても、相変わらずクラシックコンサートは、ベートーヴェンやブラームスなどが圧倒的に多いのです。

「こんなクラシック音楽界に誰がした!」と叫びたくなりますが、実際に現代音楽は人気がありません。多分お客さんは来ないでしょう。

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これは聴衆に取って不幸なことですが、それまでの調整音楽を否定した現代音楽が人々に受け入れられないのは当然かもしれません。

今日の不安な世相では、心に寄り添ってくれるような優しく心地よい音楽が好まれるのは当然なのです。

当「知られざる名曲」シリーズでは、現代音楽ファンには申し訳ないのですが、不安な時代に求められる調和のとれた美しい音楽を選曲しようと思います。

 

 

知られざる名曲 第170回  マズルカ Op. 67 No. 4 / ショパン

知られざる名曲 第169回 風林火山「大河流々」/ 千住明

知られざる名曲 第168回 ノクターン嬰ハ短調 / アベラルド

知られざる名曲 第167回 時の翼で / サン・プルー 

知られざる名曲 第166回 涙の雨/ ヴィヴァルディ 

知られざる名曲 第165回  I met you / ロシア古謡 

知られざる名曲 第164回 同心草(トンシムチョ)/ 金聖泰(キム・ソンテ) 

知られざる名曲 第163回 ヴァイオリン協奏曲第4番 ‶アダージョ”/ パガニーニ 

知られざる名曲 第162回 アリア(Aria)/ ボザ( Bozza) 

知られざる名曲 第161回 まだ見ぬコーンウォールへの旅/三枝成彰 


 

2022年10月17日 (月)

知られざる名曲 番外編30  Cum dederit / ヴィヴァルディ

初めて見た時、「貞子」かと思いました。

1975年のソビエト映画でタルコフスキー監督の「鏡」。

映像は、この映画で母親を演じた女優マルガリータ(マルガリータ・テレホワ Margarita Terekhova)さんです。
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音楽よりインパクトが強いので、先ず映像の話が先行しましたが、本題に入ります。

音楽はヴィヴァルディ(Antonio Lucio Vivaldi/1678-1741)の宗教音楽『ニシ・ドミヌス Nisi Dominus』(RV608)より第4曲「Cum dederit」です。

■ ニシ・ドミヌス(Nisi Dominus)より「Cum dederit」/ ヴィヴァルディ



歌っているのはパリ生まれのソプラノ歌手 サンドリーヌ・ピオー(Sandrine Piau, 1965 – )さん。特にバロックオペラには定評があり、来日経験もある世界的な名歌手です。

※今回は映像を重視して番外編としましたが、音楽は第1級の作品です。

2022年10月14日 (金)

知られざる名曲 番外編29 私のお父さん/プッチーニ 

世にも珍しい "鳥の演奏家" が今回の主役です。

曲は、イタリアの作曲家 プッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」のアリア「私のお父さん O mio babbino caro」です。
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歌劇の舞台となったフィレンツェ 画像ACワークス(株)


■ 私のお父さん/プッチーニ( Puccini 1858 - 1924)



鍵盤の光ったところを、くちばしでつつくだけのようですが、ちゃんと曲になっているので驚きです。

ちなみにキーボードはヤマハ製です。

■ 猫のピアニスト

少し古い動画ですが、何と猫のピアニストがいました。初めて見る映像です。

https://www.youtube.com/watch?v=zeoT66v4EHg

後半、だんだんピアニストらしくなります。

ちなみにピアノはヤマハ製です。

2022年10月10日 (月)

知られざる名曲 番外編28 交響的幻想曲 イ短調 Op. 21「Genesis」/ AIVA

これは驚くべき音楽です。ついにこんな時代が来たのです。

交響的幻想曲 イ短調 Op. 21「Genesis」! 作曲したのは AIVA?

AIVAは Artificial Intelligence Virtual Artist の頭文字の略で、すなわち人工知能(AI)による バーチャルアーティスト が作曲したのです。

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画像出典 NVIDIA
https://www.nvidia.com/en-us/research/ai-art-gallery/artists/aiva/


先ずは聴いてみて下さい。

■ 交響的幻想曲 イ短調 Op. 21「Genesis」/ AI 音楽作曲家 AIVA(エイヴァ)



「AIVA」はフランスの SACEM(音楽作詞家・作曲家・出版者協会)に登録を許可されており、世界で初めて協会に登録されたバーチャル作曲家です。当然、曲の著作権はAIVAが所有します。

この曲は、実際のオーケストラによるYouTube動画もあるようですが、このAIの演奏の方が出来が良いようです。


■ 絵画のコンクールでAIが優勝

音楽の次は、絵画をご覧下さい。

この絵画は、ジェイソン・アレンさんがAIを使って制作した絵 「Courtesy Jason M. Allen」です。
出典 2022.09.08 Thu posted at 06:59 JST


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人工知能(AI)を使って制作した絵画がコンクールで優勝作品に選ばれたことをきっかけに、芸術作品がコンピューターで生成できるのか、そして芸術家とは何かという論議が巻き起こっています。
(CNN Business https://www.cnn.co.jp/tech/35192929.html

芸術分野に進出するAIの才能に驚嘆するばかりです。芸術家もうかうかしていられない時代が迫っています。

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